田澤ちよこ詩集
『四月のよろこび』
とても痛かったの と/母になったひとの/幸せそうな微笑//外の小雪のちらつきも/大震災の騒ぎも/放射能の不安も関わりない//春 四月/至福のよろこびの ひととき(「四月のよろこび」より)
解説:鈴木比佐雄 |
A5判/192頁/上製本 |
定価:2,160円(税込) |
発売:2012年2月3日
【目次】
一章 冬物語
冬物語
藁
新 春
希
雲暮色
寝 坊
季節は春
桜の季節に
お花見
散るこそ花
花菖蒲
燕子花の四季
秋の花展
金鮎とオリーブ
花 よ
狂い咲き
落葉の道を
いま夜明け
二章 四月のよろこび
秋不知の花が咲いた日
わたし
無の存在
棄てる
二 月
コーヒー
四月のよろこび
女ともだち
散 歩
あるクラス会
メロン
ダンゴムシ Ⅰ
ダンゴムシ Ⅱ
ダンゴムシ Ⅲ
青いバイクで駆け抜けて行った男
埋 骨
ひさおじい と てるおばあ
三章 見たことのない花
夕
旅をゆく
旅のスケッチ
望郷のバラード Ⅰ 曲幻想
望郷のバラード Ⅱ 曲物語
望郷のバラード Ⅲ エピソード
宇宙ロケット「かぐやひめ」
忠霊塔
西茂森禅林街の高台で
古城早春
怖い旅行 Ⅰ
怖い旅行 Ⅱ
祖 母
見たことのない花
あとがき
略 歴
【詩篇】
四月のよろこび
甘納豆を入れた赤飯を持って
いそいそと 病院に行く
生まれて三日目の赤児に
祝い人は駆けつける
柔かな白いタオル地にくるまれて
ふわん ふわんと
しん しんと
顔じゅう 産毛だらけで眠っている
小さいベッドに近々と寄って
まだ付いていない名前の代りに
オ・メ・デ・ト と呼びかける
カーテン越しに
暖かいピンクの光が漂う
とても痛かったの と
母になったひとの
幸せそうな微笑
外の小雪のちらつきも
大震災の騒ぎも
放射能の不安も関わりない
春 四月
至福のよろこびの ひととき