大谷佳子筆文字集
『夢の種蒔き―私流遊書(わたしのあそびがき)』
これほど希望と夢と明日を一致させて今を生きる勧めを淡々と、しかも熱く筆文字で書き記す書は、今まで存在してこなかったのではないか。東日本大震災の3・11以後に肉親・知人を亡くされたり、家も仕事も故郷も失くしてしまった多くの人びとやその関係者たちは、想像を超えた「空しさ」を未だ抱き続けているだろう。そんな「空しさ」を抱えた人たちや、人知を超えた自然を直視し自然の再生を願って生きようとする多くの人びとに、大谷さんの「空しさ」を「夢」に変えようとする筆文字の言葉を味読して欲しいと願っている。(解説文:詩人 鈴木比佐雄)
B5判(横長)/96頁/ソフトカバー |
定価:1,542円(税込) |
発売:2011年12月12日
目次
一章 心遊ばせ
書きながら
秋日和
こころを空に
黙々と
含み味の
誰もみな
眼張りをすると
秋の夜長の
連れ合いも
心の拳で
怒りたいときや
ときには我慢や
二章 夢の種蒔き
抱けば
夢を一緒に
ぽかぽか
草木も
汚い水溜りで
ふるさとは
歳を重ねたら
毎日
輝きながら
あせらず
三章 人生いじめられに感謝
やせ我慢じゃなく
人生願わくば
人生という
人生という道
旅の終りに
昨日も今日も
路上の即興詩人の
上り坂で逢う人を
一所懸命の汗には
笑いから生れる
四章 私は風
天地一体の
声立てぬ
花のなかを
花の下は
人が頑張って
田植えを終えた
五月の風は
風が吹き渡ってく
なにごとにも
今日は
渡る風
この大空は
五章 命を磨いて
この大空の下は
日々の喜怒哀楽は
一生懸命
一所懸命
春夏秋冬
命を授かることは
心が澄んでいると
さあさ
深く考えると
神様を思うと
六章 森羅万象に合掌
穏やかな
世の中に錬金術が
梅桃桜
梅東風から桜へと
春暁の
自然界も
鳥のさえずりが
自然と真向かうと
おなじ止まり木
道ばたの小さな草は
七章 いい明日になあれ
命の着衣は
前人未踏の
太筆で
トンネルは
永遠でない
はなと呼ばれなくなった
峡の夕風が
よく働けば
解説
あとがきにかえて
略歴