道元のことで語っておきたいのは、言葉をもっての、「愛語」の大切さを説いたことだ。人に接し、あるいは話す言葉にも愛する心情の精神が大事とする言語愛の精神を。(「時のしからしむ耳と詩人の詩性」より)
栞解説:芳賀章内、鈴木比佐雄 |
A5判/442頁/ソフトカバー |
定価:2,160円(税込) |
発売:2011年12月12日
【目次】
一章 時の耳と愛語の詩想
《愛語》と詩的精神
《石》について ―その沈黙の根源詩性を求めて
時のしからしむ耳と詩人の詩性 ―仏教者日蓮と道元の感性を通底した詩的人間像として
人生の生き様考 ―仏典翻訳僧鳩摩羅什と作家宮本輝の人生への眼―
人生のステージ《林住期》 ―二度とない人生の中で
人間礼拝の思想について
私と仏典 ―「言語の蔵経」との相逢―
仏教音楽の系譜における《声明》についての考察
仏教的感性を呼応する詩人 ―坂村真民さんの聲
〘房総歴史紀行〙房総の歴史風景―① 下総台地に建つ飯高檀林への旅
桐谷征一著『お釈迦さまとともに』 ―ダンマパダの世界(さだるま新書15)
シベリヤ抑留者の望郷詩 ―鳴海英吉の場合
忍辱の衣 ―吉本隆明風景小論を内包しながら―
二章 詩人と批評精神
詩人佐藤文夫の反骨精神のやさしさ ―佐藤文夫『詩集 津田沼』を繙いて
堀場清子の詩「悲愁無限」を読んで ―とくにこの詩に言論人石橋湛山の悲しみを想念して
鈴木比佐雄の鋭敏な批評眼と野草花のごときやさしい詩性 『鈴木比佐雄詩選集一三三篇』解説
女の性からさけぶ水や花への魂の呼応 『くにさだきみ詩選集一三〇篇』を読んで
《鎌なす舌》の詩人 ―くにさだきみの思念としなやかさ
未津きみ詩集『ブラキストン線―十四歳の夏―』 澄んだ感性をつつむ思念詩語のふかさ
やさしさの《内なる信念》を背負う詩人 現代詩文庫『杉山平一詩集』を味わって
人生というレールの音を問い讃えた人間詩篇 詩集『電車道』鈴木文子
山本泰生詩集『声』を味読して ―《声》《耳》《魂》に水脈する人生探究の生き方
詩集『母の庭』(高安義郎)を読んで ―異形の母になろうともふかい《絆》を!
詩集『天の虫』菊田守 《自然愛詩人》の眼にみる小生物へのほほえむ讃歌
阿久根純詩集『荒寥たる風のなかで』 旅人としてのわれよ、時の到来を知れ!!
消してはならぬ原爆記憶の聲 池山吉彬詩集『都市の記憶』
片桐歩の人間像と詩の世界 ―特に2号・3号詩集を通して
郷愁の眼に浮かぶ風土の温かさ 『生活語詩二七六人集 山河編』
『鎮魂詩四〇四人集』主体的にひとりの人間として読んで欲しい 鎮魂詩アンソロジー
詩の身近さと親しみ 九十四歳で処女詩集を出版した日野原重明 『いのちの哲学詩』を手にして
尾崎寿一郎『ランボー追跡』を読んで ―独自視点でランボー転化の《見者》像を描く力作
『毛吹草』―利根町の鶴殺し伝説― ―蜀亭 原著 芦原修二 口語訳
鏡味國彦著『古城栗原元吉の足跡』 ―恩師栗原元吉評価への一書
西館静夫著 ルポルタージュ『えすおうえす』 ―破壊される労働者の健康―
三章 定型詩人と作家たち
《柔和質直者》の詩人 ―五喜田正巳の年輪の顔につつまれた優しさ
出自の匂う句心 ―成田千空さんの眼の結節
俳人八幡城太郎さんの声 ―その追想と感謝を込めて
《俳人論》俳人僧上田正久日上人の句道仏心
ふるさと石和に「詩碑」 立正大出の老詩人内田義広氏
秦恒平著『みごもりの湖』
渡辺淳一著『北都物語』
四章 詩人と校正
わが著書『石橋湛山―信念を背負った言説』を出版して
詩論集『雨新者の詩想』を出版して
わが内景詩集『晩秋雨』を出版して
詩人と校正
夢眼寸言
自殺寸考
ヴィヨンの言葉
潭心二題
詩誌「いのちの籠」を手にして
一枚の色紙の悲しみ
真赤なりんご ―わがりんごへのひとりごと
詩表現スナップ 十三の砂山
郷愁小感
田園の水元小学校
「伴食詩人」考
私の詩人観
「世紀末思想」
詩「断ち切れぬ影」についての小文
五章 詩誌・詩集評
詩集評①
詩集評②
詩集評③
詩集評④
詩誌評 乱世の詩誌群
詩誌評 続乱世の詩誌群
詩誌評 続続乱世の詩誌群 ボルテージの高い呼応の詩心を?
六章 ―① 講演・座談会記録
『鳴海英吉全詩集』刊行を祝う会 ―鳴海英吉と仏教とシベリヤ
第三回 鳴海英吉研究会 ―鳴海英吉と石橋湛山
第四回 鳴海英吉研究会《第三部 シンポジウム》 ~鳴海英吉の宗教観と戦争責任~
第五回 鳴海英吉研究会《第二部 スピーチと鳴海英吉の詩の朗読》
―② 千葉県の詩運動
第二回ふるさとをたずねる会を終えて
詩まつりに想う 377
「千葉県詩人クラブ会報」寸感
根岸の「子規庵」を訪れて
《天上法楽》の花を愛でて ―一九九八年「玄」の花見会レポート
寸言・心言
歴史と文学の香る佐倉散策
私の眼の「玄」の想い出
千葉県ゆかりの詩人 三隅 浩
日本詩人クラブ千葉大会レポート
「光芒」50号に想う ―わたしの感懐を通底して
《法勝忌》と文学者の墓 ―第五回《法勝忌》レポート
―③ 短説と詩の解説
「短説」53、54号と 年鑑短説集『乗合船』について
「短説」二、三月号を読んで ―四十八の誓願から発想か―
「読む」という事と「批評」という事の私的雑感(上)
「読む」という事と「批評」という事の私的雑感(下)
「短説」六月号と「文体」小雑感
文字の魔性をもて!
「つながれた声」「性の読本」
月刊短説九月号
余韻の文体の大切さを
年鑑短説第六集『函中の函』 ―八百字に盛る言語世界の面白さ
『小春日和の庭で』河江伊久短説集 ―ユーモアの底に流脈する血族の眼の叫び
『料理人の天ピン』 ―料理人気質の面白さとやさしさを放射
アンソロジー『今日の詩・玄詩集’96』所収より
解説〈大籠康敬〉
解説〈北原政吉〉
解説〈坂巻やすこ〉
解説〈野村 俊〉
解説〈藤原聖晃〉
初出一覧
[あとがき]
略歴