首都郊外の小さな町の小さな事件/観光道路わきの駐車場で/若い男女七人の遺体が見つかった/封印されたワゴン車のなか 封印された七つのたましい/足元には まだ余熱を保っている四つの練炭/ちなみに二〇一〇年のわが国の自殺者は/三万千五百六十人/一九九八年以来つづけて三万人をこえている(「惑星」より)
解説文:鈴木比佐雄 |
A5判/136頁/ソフトカバー |
定価:2,160円(税込) |
発売:2011年12月8日
【目次】
目次
Ⅰ 八月のブランコ
一九四五年八月の、二つの都市の記憶のために
刻 印
八月のブランコ
会食の海
祭りのあと
膝
Ⅱ チャップリンの帽子
遠く忘れられた部屋
吉 野
鳥打帽
気 配
チャップリンの帽子
雑貨商
三人談義
手を縫うひと
竹 林
鍋のむこう側
遡 る
Ⅲ 惑 星
回廊のある街 フィレンツェ
召 命
最後の王
日乾しレンガの唄 アフガン風景
壁
テーブル・クロス
漓 江
小春日和
惑 星 数字によるコラージュ
Ⅳ 明日の風景
船の名前
スクラップ
蝋 涙
鳥
夢
明日の風景
あとがき
詩篇
「惑 星 数字によるコラージュ」
首都郊外の小さな町の小さな事件
観光道路わきの駐車場で
若い男女七人の遺体が見つかった
封印されたワゴン車のなか 封印された七つのたましい
足元には まだ余熱を保っている四つの練炭
ちなみに二〇一〇年のわが国の自殺者は
三万千五百六十人
一九九八年以来つづけて三万人をこえている
BBCが二〇〇四年十二月に実施した世論調査によると
アウシュビッツという名前を
一度も聞いたことがないと答えた人は
全体の四五%にのぼる
ちなみに 同年の
ニューヨーク・タイムズの世論調査による
人類誕生に関するアメリカ人の見解は
神が創造したとする者五五%
神が関与したとする者二七%
進化によるとする者十三%
わからないとする者五%
いま世界は 二〇%の豊かな人びとが
八〇%の自然資源を消費している
スマトラ沖大地震と津波による犠牲者は
最終的に二十二万人に達したと見られているが
NASAの発表では この地震によって
地球の自転速度が増し 一日の長さが
百万分の二 ・六八秒ほど短くなった
地軸も二 ・五センチほど東に移動した という
ちなみに この地震発生から三週間たっても
地球がふるえていることを立証したのは
日本の国立天文台みずさわ観測所
〇 ・三ミリの幅で伸び縮みを続けていた という
四つの練炭で七人が死に
地軸が移動した
ふるえる地球
地球にも
恐怖の感情があるのだ