王ヶ鼻の岩壁の上に立つ/五体の石仏が慈悲の顔を黙し/旅人を迎えてくれた/眼下に広がる盆地に川は悠々と流れ/街は地域を造り/整った田畑が青々とみえる深い地層/この頂きまでいくつもの山が重なり合い/盛りあがって/鼻のように突き出た絶壁につながる(帯文より)
栞解説文:鈴木比佐雄 |
A5判/160頁/ソフトカバー |
定価:2,160円(税込) |
発売:2011年10月6日
【目次】
目次
Ⅰ章 美ヶ原台地
心 象
時の流れ
二月の虹
福寿草
安曇野の原
春祭り
満開の下で
白根葵
桜花の時
夏の炎
恵みの雨
栂池景勝
ひまわり
諏訪湖
彼岸花
赤い迷走
美ヶ原台地
夕焼けおりて
回帰の空
年輪を刻む
冬の霧
年の瀬
冬の散策
雪の日
巡る季節
厳冬期
Ⅱ章 隣人はどこに
生
短 命
烏
退職の日
壊れた体
青い器
悪 夢
ガジュマル
暴かれた構図
骸の上に
災厄のあと
隣人はどこに
Ⅲ章 幸せの国
創造の尺
命の水
静物の滅び
光と命
地上の生
掲示板
祠 に
回想の道
出現の時
ホルスの眼
聖地の土
光の束
幸せの国
託された胤
あとがき
略歴
詩篇
「美ヶ原台地」
百曲りの細い坂道を登りつめると
雄大な草原が眼に飛び込み
溶岩台地が波打ちうねる
右側に美しの塔が座り
その先に山本小屋の赤い屋根がみえる
山頂のホテルの横に
電波塔が朝日を浴び銀色に光る
谷間を埋めたもみの林が茂り
のどかな牧場に牛がゆったりと
草を食べている自由な囲い
天地はかけ離れた遠い世界にあった
王ヶ頭ホテルの展望台でくつろぐ
三六〇度の眺望を眼前に置き
北アルプス連峰の岳の名を記す
絵図と照合しては頷く
平原を渡る風と光
秋の気配をふりまく草花と
ブルー空を呼吸しながら
万華鏡に映る夏の日を拾った
ピンクのヤナギランが咲く山道を
下って登ると
王ヶ鼻の岩壁の上に立つ
五体の石仏が慈悲の顔を黙し
旅人を迎えてくれた
眼下に広がる盆地に川は悠々と流れ
街は地域を造り
整った田畑が青々とみえる深い地層
この頂きまでいくつもの山が重なり合い
盛りあがって
鼻のように突き出た絶壁につながる
美しい造形に魅せられた高原に
創造者が降りたった日のことを
思い浮かべる
まほろばの地に寄り沿っている