見上げていると六歳くらいの子が話しかけてきた 「お母さんは僕が十三のとき七つで死んじゃった」 「えっ? 君はまだ十三になってない それに七歳の母だなんて(帯文より)
栞解説文:鈴木比佐雄 |
A5判/192頁/上製本 |
定価:2,160円(税込) |
発売:2011年9月9日
【目次】
目次
一章 時間の矢
時間の矢
ぴょこ、ぴょこと
いくらみぎめ
骨
時あかり
似たようなもの
御所車
ローソクが欲しい
夜明けの庭で
厩 で
鳥浄土・雪浄土
絶壁の家
白 骨
ご臨終です
曼陀羅図
どこへ
二章 猫の尻尾
猫の尻尾
犬と勲章
俵の中から
土堤のワニ
へソクリと子牛
ネコっ児
双頭のヘビ
撫で肩のヘビ
ヘビのなる木
虫 籠
コオロギ
透明なオリ
猫の町
碁盤通りのネコ
馬の行進
ネコノキ
謝肉祭
驢馬のダンス
三章 紺屋の店先
紺屋の店先
湖底列車
魚の頭踏んで行け
手裏剣
易者小さん
とんだ傘
滑 走
発光体
宍道湖の眺めは
合わせ鏡
占い師の家
鳥 兜
訪問理由
餅まき
千本松原
雪の渚
魚市場
四章 人台
人 台
ぐにゃぐにゃ
階段あるいは階級
顔 施
死刑挨拶状
喜 捨
クマオトコ
文学研究会
歯科医院にて
女装の男
弁 慶
「あたま山」
薄暮の路地
顔
良い人たち
禁 句
名簿欄
行 列
放火犯
校正人
推 敲
五章 人形
コロコロ
両刃の包丁
生物の本
ゴシックの薔薇
生 誕
人形の恋
人 形
首なしの
穴かがり
ノンブル
妙な呪文
物 魂
小さなボタン
ダン氏の本
裏技本
おまけ
料 理
壁掛け
六章 風葬
風 葬
わだつみの軍団
あだし野
落ちていく
金の糸
吹雪の中のゴンドラ
レース雲
雪の台地で
七章 不思議の絨毯の上
ラッキョウ畑
渡られい
バオバブの影が
苗 師
危機一髪
桜の丘
極 楽
新 内
不思議の絨毯の上
螺 髪
あとがき
略 歴
詩篇
「時間の矢」
幌のあるトラックにギュウ詰めに立っている子供たち どこへ向けての出発か 見上げていると六歳くらいの子が話しかけてきた 「お母さんは僕が十三のとき七つで死んじゃった」 「えっ? 君はまだ十三になってない それに七歳の母だなんて聞いたことない」 でもそうなんだ……と子供は悲しげに言い張る
きっと真実なんだろう この世は矛盾に満ちていて 何ひとつ合理的ではない それにヒトの子の時間の矢にも方違えというものはある とだんだん信じられてくる うん