星野明彦詩集
『いのちのにっき』
夕暮れの海を/ひとりで/しずかに/あゆむ//ふと/目の前を/照りつける/赤いものに向かって/思いっきり駆けてみる//ああ/いつまでも/砂は尽きない/走ろうと走ろうと/そのあたたかいものの中に/わたしは/入ってゆけない(詩「いのちのにっき(一)―夕暮れに魅せられて」より)
解説文:鈴木比佐雄 |
A5判/352頁/ソフトカバー |
定価:2,160円(税込) |
発売:2011年5月28日
そっと開ければ、そこは1960年代の若者のこころの中。どう生きるべきか、どう考えるか、恋愛はどうなるのか。希望と絶望をつづる日々の声がノンフィクションのリアルさで詩に刻まれている。1965年(作者22歳)秋から1967年(作者24歳)春までの、生きた実録詩。40年近く経って、作者はおもむろにこの大切なこころの詩集を読者に手渡す。(紹介文・詩人佐相憲一)
【目次】
いのちのにっき(一) ―夕暮れに魅せられて
いのちのにっき(二) ―生きる意味を求めて
いのちのにっき(三) ―母の死に遇って
いのちのにっき(四) ―友は病臥して
いのちのにっき(五) ―エスさまわたしを導いて
いのちのにっき(六) ―愛の悦びに震えて
いのちのにっき(七) ―突然の破局を迎えて
補遺 いのちのにっき以前 ―あの瞳を失って
『いのちのにっき』のためのアポロギア
詩篇を紹介
「いのちのにっき(一)
―夕暮れに魅せられて」
1
夕暮れの海を
ひとりで
しずかに
あゆむ
ふと
目の前を
照りつける
赤いものに向かって
思いっきり駆けてみる
ああ
いつまでも
砂は尽きない
走ろうと走ろうと
そのあたたかいものの中に
わたしは
入ってゆけない