全詩集
大井さんの詩集十一冊を収録した全詩集は、戦前戦後の歴史時間を根底に秘めている詩群であり、半世紀以上を懸けて時代と対峙しながら、書き継がれた荒ぶる魂の記録である。 鈴木比佐雄・解説文より
解説文:西岡光秋、平野宏、高石貴、栗和実、西川敏之、佐相憲一、鈴木比佐雄 |
A5判/480頁/上製本 |
定価:5,400円(税込) |
発売:2011年11月29日
【目次】
Ⅰ 詩集 滅び行くもの(一九六八年)
序 詩
〈永 遠〉
記 憶
永 遠
除 夜
日本極楽
表 現
花
終 末
実 在
孤 独
虚 無
失語症
悲 歌
一九四九年よ
組合大会
沈 黙
槌
春
指揮者
肯 定
愛 情
〈晩 夏〉
御陣乗太鼓
あじさい
六 月
ニチボー貝塚に
晩 夏
強制収容
谷 川
祭
〈新 生〉
オリンピック終る
流離の歌
広隆寺で
新 生
田辺哲学に寄す
人生小唄
吾子を抱きて
あゝ二十年
窓 辺
アイガーの死
北壁に死す ―渡部恒明君に―
上高地情景
〈黒い海〉
怒 り
田舎にて ―早春―
終りと始め
カラヤン
詩
旅 人
愛
ば ら
台風の後
黒い海
山
悲しみ
不 信
休 息
変 容
沈 黙
〈旅 人〉
時
藤
岬の人
幻 想
旅 人
終着駅
海
わが家
Requiem ―鎮魂曲―
少 年
饒呑の詩 …ああ私はくりかえす…
六 月
空也上人像
永観堂 …見返り阿弥陀…
竜安寺
〈日 没〉
ピアノ
真 昼
芥子の花
日 没
月 夜
二十一世紀への問
秋
滅び行くもの
哀 傷
開かれた時
影
百 舌
オルグ
疾 走
その時に
東寺の塔
胃癌の死 ―黒田勝氏に―
Ⅱ 詩集 非 在(一九七四年)
Ⅰ
飢 餓
遠い旅
不 惑
終バス
夜と朝
山 へ
彫 る
極楽鳥の夢
夜の岸
早 春
頂 き
秋
運 河
手
非 在
死の夜
解 体
Ⅱ
パノラマ ―砦の夢―
告 発
プロローグ
詩 人
南の島
北の島
民の声
エリートたち
忘れられた人
敗者の行進
遅れてきた者たち
エピローグ
詩人 大井康暢のこと 黒田三郎
Ⅲ 詩集 墜ちた映像(一九七八年)
〈墜ちた映像〉
夏の便り
流 氷
黒い夕陽
新しい秋
夜のエスカレーター
春スキー
崩壊感覚
愛のかたち
歪んだ風景
一九七二年最終版
春の嵐
一つの否
〈月から見た青いオアシス〉
器 物
白 鳥
地の果て
丘の上
鴉と西瓜
ゲヴァルト
細い手
月から見た青いオアシス
Ⅳ 詩集 詩人の死(一九八〇年)
Ⅰ
おそい春
いやな夏
秋の舞踏
冬の旅
蠍
遠 足
栗
だれも見えない
本 物
鈴 虫
紙ヒコーキ
貝殻追放
水ぬるむ
白い風景
白い海
影 像
Ⅱ
交通ゼネストの夜
鎮魂歌
希 望
火と炎の記憶
春におもう秋の歌
塩焼き
死者たち
Ⅲ
風 化
腐敗の時
乱 獲 ―信天翁の唄―
或る教師の死
深海魚
巨峰という葡萄
象牙海岸の春
鯨始末記
今年はどうして ―中井博子の霊に―
詩人の死
Ⅴ 詩集 ブリヂストン美術館(一九八二年)
白 鷺 ―大畑専に―
告別式 ―黒田三郎に―
千羽鶴
ブリヂストン美術館
別 れ
いとなみ
日溜り
夏の終わり
山 女
巨 人
涸れた河床の風景
薬師寺
中宮寺
永遠の淵
春の夢
朝の声
名 人
腰掛け石
愛
遠い声 ―小柳俊郎に―
Ⅵ 詩集 現 代(一九九七年)
木
高原の春
春疾風
不思議の園
廃 墟
白 鷺
かまきり
化 石
燃えつきるとき
―ピアノ協奏曲№23イ長調K488―
ワープロ病
ネガと感光
囚 人
オリンピック一九八四・ロスアンジェルス
―悲劇のマラソン王者―
風 景 ―三月十日―
バラード
夜明け
阪神・淡路大震災聞書き
いのち
生きる
Ⅶ 詩集 沈 黙(一九九八年)
蛍
金 魚
ブランコ
ポプラ
花 火
木
狩野川
パーツ
詩 曲
おとずれ
谷間の伝説
残酷な季節
早春の黄昏
事 故
ビキニ
沈 黙
朱鷺の死
鶯
潮 騒
処 刑
日時計
陥 穽
痛 み
こけし
坂 道
Ⅷ 詩集 哲学的断片ノ秋(二〇〇〇年)
哲学的断片ノ秋
記者手帳
釣 り
伝 説
日の出前
―平成三年二月六日午前二時五分―
引き出し
見なかった風景
思い出
墓 ―伊那にて
発芽の姿勢 ―六月四日
年の瀬
秋
墜 落
狩野川
春の潮
ガラス窓
卵
自画像
詩人の伝説 ―大畑 専に捧ぐ―
旗
墓碑銘
声
世紀末の色
雨の廃兵院
雨の降る風景
橋
虚の体験
とことん
ことば
Ⅸ 詩集 腐刻画(二〇〇四年)
秋
霧の波止場
水 車
秋 風
腐刻画
亡 霊
手切れ
末摘花
桐 壺
須磨蟄居
蠟 燭
八月十五日 ―親が子に語る
或る風景 ―オスタカに―
愛
足の墓場
Ⅹ 詩集 遠く呼ぶ声(二〇〇九年)
遠く呼ぶ声
漂 泊 ―宗 左近に
放流のとき
常夜灯
水中花
崖に打ち寄せる波
群れる
たましいよ、天に還れ ―高橋喜久晴に
一期一会
みやこの春
油のように洩れ来るもの
大社の桜
追 憶
そら耳
水切り
寝静まっている者たちを起こすな
蕪村の墓
喫茶店の窓から
ロストロポーヴィッチの死 Ⅰ
ロストロポーヴィッチの死 Ⅱ
季節のシルエット
蝶
西へ行く
霧の中から
千葉 龍に
玉川用水
Ⅺ 詩集 象さんのお耳(二〇一一年)
一章 夕 蝉
石割りざくら
訪 れ
春
春の海
花すだれ
花のいのち
雷 鳴
夜の蛙
夕 蝉
苔
寒い夏
秋
上州の秋
凍る秋
冬の花火
二章 難民の季節
難民の季節 ―タケミツに―
指揮者の顔 ―クラシックファンに―
作品一三二番イ短調
勧進帳
第三の男
白い雲
笑 う
父
いのち
三章 雪が降る
雪が降る
春の別れ ―Sに―
落 花
ブルカ
死の床で
大森隆夫に
四章 象さんのお耳
暁
元日
富士
碁打ち
愛の神話
神の涙
夜の雨
ミイラは眠る
黒い地球
消える
末期の眼
津 波
震災余話
少女、この世の宝もの
象さんのお耳
Ⅻ 未収録詩篇
ところてん
過ぎ去りし日々
一日の喜び
蜩
評 論
抒情の彼方 ―「四季派」の悲劇―
1 時代の求めるもの
2 時代の犠牲者たち
3 抒情の反社会性
4 伊東静雄の世界
5 抒情の完成
詩の全体性の回復について
1 戦後思想史の明暗
2 戦後詩の転向
3 現代詩の理念
4 全体性の回復
解 説
詩魂の使徒として 西岡光秋
空に鳴る風 平野 宏
闇の部分から光をあてる世界へ 高石 貴
大井康暢論 栗和 実
大井康暢論 ―存在の奥の深きことばの世界 西川敏之
戦後詩・現代詩の大切な達成 『大井康暢全詩集』刊行に寄せて 佐相憲一
荒ぶる魂を「満ちたる時」に転移する人 『大井康暢全詩集』に寄せて 鈴木比佐雄
大井康暢 年譜
編 註