書籍一覧 新刊
坂本梧朗
『見果てぬ夢―堺利彦伝 』
坂本梧朗氏は堺利彦の言う「恐喝的軍備拡張と詐欺的外交政略との外なき今日」とは、120年後の地球規模での経済格差や人種・男女差別が蔓延し、AI兵器で領土も民衆も破壊し合う21世紀でも同じことが言えると考えている。そして利彦のような家族や人間を大切にする社会主義を役立て、それを日本に応用しようした思想・実践家たちの足跡を現代に問い掛けている。 (鈴木比佐雄 解説文より)
四六判/512頁/上製本 ISBN978-4-86435-632-9 C0093 |
定価:2,200円(税込) |
発売:2024年11月12日
目次
一章 故郷
1 南郷原の昼狐
2 父
3 母
4 三兄弟
5 招魂祭
6 士族の商法
7 秋月の乱
8 豊津中学校
9 自由民権の思想
二章 上京
1 小石川の英学塾同人社
2 神田の共立学校
3 第一高等中学校
4 賄征伐
5 眼鏡橋の牛鍋屋
6 りっぱな放蕩者
三章 彷徨
1 兄平太郎の死と家督相続
2 自由放任の新米教員
3 父母を迎える
4 古典文学の探究
5 俳号枯川
6 秀子の死
7 土佐への逃避行
8 西村天囚
9 翻案小説で作家修行
10 「もう、八木がないぞよ」
四章 模索
1 『新浪華』入社
2 壬午事変と甲申政変
3 日清両国互換条約
4 日清戦争
5 第七回帝国議会と杉田藤太
6 六年ぶりの東京
7 母琴との永別
8 大阪を去る
五章 結婚
1 田川大吉郎
2 人間の真実が
3 実業新聞
4 落葉社の句会
5 父の死去と結婚
六章 克己
1 福岡日日新聞社
2 克己心と妻への感謝
3 福日紙と福陵紙
4 九州沖縄八県聯合共進会
5 豊前人
6 故郷の人々
7 妻美知子の妊娠と新しい天地
8 クロとの別れ
七章 啓発(1)
1 末松謙澄男爵
2 毛利家歴史編輯所
3 無限の寂寞―兄欠伸の死
4 山路愛山のパブリック
5 中原邦平
6 小説の理想
7 長男不二彦の誕生
8 社会問題―愛山との対話
9 知識の不足
八章 啓発(2)
1 美知子愛しの一念
2 共和政治という「不敬の言」
3 禁煙の挫折
4 幸徳秋水と知り合う
5 成り上がりの華族
6 黒岩涙香の『万朝報』
7 黒岩社長の面接
8 慰労金での借金返済
九章 家
1 浴泉雑記
2 美人至上主義
3 不二彦の入院
4 姉妹不和の愚
5 杉田藤太の死
6 二歳の不二彦逝く
7 「春風村舎の記」
十章 社会改良(1)
1 当世紳士堕落の謡
2 小有居漫録
3 義和団の乱―天津通信
4 風俗改良案
5 女子の職業
6 交友関係についての思索
7 美知子の転地療養
8 肺尖カタル
9 光明寺参詣
10 社会民主党の禁止を越えて
十一章 社会改良(2)
1 理想団の発会式
2 「家庭の新風味」
3 「一年有半」・「茶代廃止会」
4 夫婦論・家族論
5 『続一年有半』
6 家庭の事務
7 田中正造の直訴文依頼
8 中江兆民の死去
9 家庭の文学
10 「いずれは僕も打ち首さ」
十二章 社会改良(3)
1 明治三五年の正月
2 『家庭の新風味』を実践する愛読者
3 家庭の親愛
4 演説会と晩餐会
5 家庭の和楽
6 美知子の鎌倉引揚げ
7 家庭の教育
十三章 社会主義(1)
1 イリーの『近世仏独社会主義』
2 バフーフとカベーの「平等と友愛」
3 サン・シモンの「万国統一の平和」
4 坑夫生活の悲惨な実情
5 フーリエの「社会的結合」とルイ・ブランの「労働組織論」
6 プルードンの相互主義
7 マルクスの『資本論』
8 理想団の「議員予選会」
十四章 社会主義(2)
1 『共産党宣言』
2 ブルジョアジーとプロレタリア
3 矢野龍溪『新社会』を恐れた元勲諸老
4 社会主義たる枯川君
5 『空想的及び科学的社会主義』
6 唯物史観と剰余価値
7 二つの論説
8 社会的生産手段を公共の財産に
十五章 見果てぬ夢
1 孟子を読む―仁義信愛の王道を
2 真柄の誕生
3 家庭と社会主義
4 自由投票同志会の演説会
5 内村鑑三の「理想を国民と国土の上に描く」
6 家庭改良を通じての社会主義
7 『家庭雑誌』の発行
8 人類の祝祭
主要参考文献
解説 人間を大切にする堺利彦の社会主義を現代に問う 鈴木比佐雄
あとがき