書籍一覧 新刊
大城貞俊・村上陽子・鈴木比佐雄 編
『又吉栄喜の文学世界』
「いかなる時にも人を喜ばせよ、高貴たれ」
これは、『夢幻王国』のなかで、黒人の軍医が語り手の女性に語る言葉だ。もちろんこれは作者である又吉さんの創作指針であり、目の泉の底にある信念であろう。ホメロスもきっと同じ考えだったに違いない。
(作家:ドリアン助川・帯文より)
A5判/272頁/上製本 ISBN978-4-86435-610-7 C0095 |
定価:2,200円(税込) |
発売:2024年4月23日
目次
序
又吉栄喜の「原風景」という問い掛け 鈴木比佐雄
Ⅰ 又吉栄喜の現在を創造する先駆的試み
又吉さんの目 ドリアン助川
又吉栄喜さんのこと ―「夢幻王国」にふれて 八重洋一郎
群星の輝き―『又吉栄喜小説コレクション』をめぐって 村上陽子
詩的精神が創造した思索や構想力に満ち魂の深層を救済する小説
―『又吉栄喜小説コレクション』全4巻44編に寄せて 鈴木比佐雄
又吉栄喜小説コレクションから又吉文学の姿を考える 高柴三聞
Ⅱ 又吉栄喜・小説世界の歴史的歩み
救いへの挑戦、或いは自立への模索 ―「海は蒼く」から「仏陀の小石」まで 大城貞俊
Ⅲ 又吉栄喜・長編小説の文学性と思想性
人と人/文化と文化を織り上げる〈語り〉の世界 与那覇恵子
シュルレアルか、さもなくばエロスか ―又吉栄喜「海は蒼く」を読む 呉 世宗
又吉栄喜「海は蒼く」論 ―暗く静かなところへの旅― 山西将矢
植民地・部族・アイデンティティ ―『巡査の首』を読む 関 立丹
又吉栄喜『巡査の首』論 ―「椰子の木蔭」に死者と安らう 仲井眞建一
『仏陀の小石』に見る「トランスクリティーク」の一視点 岡本勝人
Ⅳ 又吉栄喜・中編、短編小説の「原風景」の反復と深耕
〈闘争〉を求められる檻の中で ――又吉栄喜「カーニバル闘牛大会」論 栗山雄佑
〈耳〉をめぐる生者と死者の対話の可能性/不可能性
―「ターナーの耳」論 柳井貴士
『亀岩奇談』論
―「原風景」は「沖縄の今」としてどのように小説化されるか― 小嶋洋輔
闘争する「原風景」―又吉栄喜の米軍関連作品を中心に 郭 炯徳
Ⅴ エッセイ
エッセイ2題 玉木一兵
戦後の沖縄社会の底辺で ―又吉栄喜「ギンネム屋敷」論 高良 勉
又吉栄喜の世界に触れて 長嶺幸子
「闘牛小説」を読む 仲程昌徳
おわりに 大城貞俊
執筆者プロフィール
沖縄・浦添の原風景を歩く(MAP)
◆付録 又吉栄喜年譜