書籍一覧 新刊
今林直樹
『沖縄の地域文化を訪ねる ―波照間島から伊是名島まで』
沖縄の方々が私に示してくれた温かな心遣い。それらは忘れることのできない大切な記憶として私の中に残っている。そして、そこには人に対する沖縄の人々の深く温かい愛情が表れているのではないだろうか。そうした、人に対する沖縄の人々の温かい眼差しの謎を解きたくて、そしてその温かさに触れたくて、何度も沖縄を訪れる羽目になってしまい、今日まできている。(――本文「ちむくぐる」より)
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四六判/352頁/並製本 ISBN978-4-86435-547-6 C0095 |
定価:2,200円(税込) |
発売:2022年12月22日
目次
まえがき
Ⅰ 島言葉と沖縄文化
ちゅらさん ―「いときよらし」
ちむぐくる ―「袖触れ合うも他生の縁」
ダートゥーダー ―謎の小浜島の芸能
服部四郎の来沖 ―沖縄の言葉を話したい
今帰仁 ―服部四郎と仲宗根政善の研究
方言コスプレ ―「人間関係をまろやかに」
石敢當 ―沖縄の魔除け
ハブ除けの呪文 ―「どぅきり どぅきり」
ナヰとシガーリナミー ―「異様で不吉な干潮」
うりずん ―「万物萌えさかり、生気に満ち」
ぬちぐすい ―「命の薬」
命を守る ―「命どぅ宝」
琉球の美 ―紅型、琉球漆器、やちむん(焼物)
芭蕉布 ―「大宜味村の自然とともに」
紡ぐ ―喜如嘉の平良敏子
組踊の世界 ―「人間」の持つ「魔」
ハワイ ―「世界のウチナーンチュ」
やちむんとの対話 ―唯一無二の作品
ものを言う牛の話 ―牛は人間に幸せをもたらす
人間国宝 ―歩みと手の所作だけの静かな舞台
みーふぁいゆー ―夏川りみのコンサート「ありがとう」
柳宗悦と沖縄 ―「琉球の独自性」
戦災文化財 ―「復元作業を通じて先人の匠の技を学ぶ」
第七回「世界のウチナーンチュ大会」 ―「今こそ結ぶ世界の輪」
Ⅱ 先島諸島の歴史・神話・文化と生物多様性
津波石 ―石垣島の明和大津波と三陸海岸大津波
綾道 ―宮古島の「趣のある道」
天文屋の御主前 ―台風に挑んだ岩崎卓爾
雪の色 ―石垣島の「色付きの雪」
西表島 ―イリオモテヤマネコの第一発見者
遠見番所 ―異国船の海上監視
波照間島 ―南十字星を見たくて
オヤケアカハチ ―逆賊か英雄か
石垣島の石化伝説 ―野底マーペー伝説
多良間島 ―「キィムンディバ、ティービィキ」
海を歩く ―「祖先の思いのかかった方言」
世果報 ―小浜島の長老文化、敬老文化
川満大殿 ―宮古島の土木技術に秀でた人物
慶来慶田城用緒 ―長田大主の盟友
八重山諸島の鍛冶伝承 ―竹富島と与那国島の鍛冶神
八重山諸島の星々 ―「天空のコスモロジー」
真乙姥御嶽 ―悲哀に満ちた人間の歴史
神々の訪れ ―「ニライカナイ」思想と来訪神
猫と鼠 ―竹富島に伝わる猫の民話
パーントゥ ―宮古島島尻地区の厄払いの神
竜宮話 ―竜宮伝説の残る「湧川まさりゃ御嶽」
結い ―「黒島の人々の悲しみ、苦しみの歴史」
Ⅲ 沖縄本島(南部・中部・北部)・離島の歴史・文化・鎮魂
表十五人衆 ―沖縄のために
「戦後沖縄」という時代 ―石川ジェット機墜落事故
戦争の記憶 ―『ひめゆりと生きて 仲宗根政善日記』
仲宗根政善と沖縄の日本復帰 ―沖縄を「平和への原点」に
仲宗根先生のこと ―「弾を抜くんじゃない!」
石に刻む ―教え子の名を刻む葛藤
仲宗根政善先生 ―「平和」という言葉の重み
戦争を知らない子どもたち ―「勇気を振り絞って語ってくれた」
北緯二十七度線 ―復帰運動の「海上集会」が再現
沖縄復帰五十年記念 特別展 琉球 ―鎌倉芳太郎が撮影した破損された仏像
琉球政府文書と沖縄県公文書館 ―「なんのために研究をするのか」
沖縄社会大衆党 党名の謎 ―「琉政文書」から見えてくるもの
炎 ―鎌倉芳太郎の「あやうし! 首里城」
史料は語る? ―歴史学と考古学のコラボレーション
浦添を歩く ―「浦添ようどれ」と伊波普猷への墓参り
彗星 ―「凶兆」の象徴か「希望の星」か
勝連城の古代ローマ貨幣 ―琉球王国の大交易時代
勝連の阿麻和利 ―「沖縄最後の古英雄」
冬来たりなば ―「なぜ首里城正殿は西向きに立つ?」
伊江島の城山(タッチュー) ―「島そのものが、兵士や住民の白骨で」
古宇利島 ―古宇利島版「アダムとイヴ」伝説
山北王 ―「三山鼎立時代」
伊是名島 ―琉球王国第二尚氏尚円が生誕した島
辺戸岬 ―祖国復帰闘争碑
やんばるの森 ―無数の命が生きる森
Ⅳ 気候変動・パンデミック時代に東北から「沖縄の地域文化を訪ねる」
沖縄の食卓 ―沖縄の食文化が大きく変容した
シーサー ―沖縄料理店にはシーサーがよく似合う
北と南の世界遺産 ―人々の生活の歴史に思いを馳せ
火災除けの呪文 ―夜烏の恩返し
合衆国 ―石垣島の嵩田地区は「合衆国」
試行錯誤 ―「理想のやちむん」
「転」の一年 ―「しばし待てぃり 嵐どぅきら」
疫病退散の願い ―村の入り口に七五三の注連縄を張った
エンドロール ―「生きる力の源」を見出す
シーシュポスの神話 ―新型コロナウイルスと私たちとの闘い
縁 ―人間関係をあらためて復元
三月十一日 ―『浪分神社』の伝承途絶える
忘れた頃に… ―阪神・淡路大震災と東日本大震災を経験
リスタート ―まだ人の感受性は衰えていない
生きてさえいれば ―「あなたの愛する人を幸せに」出来ます
参考文献
あとがき