句集・歌集
河野美千代 句集
『国東塔』
〈母の亡し玻璃いつぱいの鰯雲〉
河野さんは平成二十二年「沖作品」の十二月号の投句で見事に巻頭に輝いた。掲句はその時の句で、お母様を亡くされた時の句である。本当は限りなく悲しくて淋しい時に、俳句でその感情をあらわにしては、本当の悲しさが読者に伝わらない。淡々と一句に詠むほうがかえって読者の心を打つ。この句も母が今亡くなった部屋から見える風景だけを詠んでいるのが、その悲しさを増大させる。なんと美しい空に広がる鰯雲なのだろう。今旅立った母もあの美しい空に向かっているのだと思ったのだろう。(能村研三 序文より)
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序文:能村研三 跋文:田辺博充 |
46判/192頁/並製本 ISBN978-4-86435-440-0 C1092 |
定価:1,650円(税込) |
発売:2020年5月28日
河野美千代 句集 国東塔 目次
序 能村研三
Ⅰ 国東塔 平成十一年~十四年
Ⅱ 枯野の裾 平成十五年~十八年
Ⅲ ナース帽 平成十九年~二十二年
Ⅳ どれみふあそ 平成二十三年~二十五年
Ⅴ 山のなみだ 平成二十六年~二十八年
Ⅵ 湯煙 平成二十九年~三十一年
跋 田邊博充
あとがき