全詩集
苦心、苦闘、生命を賭けた詩業が実る。
半世紀以上、みごとな抵抗体。
日本の波濤は静かでもあるし、荒い。
大崎二郎よ、耳を澄ましているか。
(帯文:長谷川龍生)
解説文:西岡寿美子、長津功三良、鈴木比佐雄 |
A5判/632頁/上製本 |
定価:5,400円(税込) |
発売:2010年1月26日
【目次】
Ⅰ 第四詩集 走り者 (一九八二年)
〈Ⅰ〉
迷う紙 16
乾くな 18
紙漉きの掌 20
喘ぐ紙 21
火 23
靄のなか 25
楮くさのとき 27
雪の路上 30
蝶の幻 32
半丈記 33
粘性の夜 35
紙漉きのわらい (一)36
紙漉きのわらい (二) 39
〈Ⅱ〉
走り者 40
〈Ⅲ〉
京 花 45
雪の鳥形山 46
皿・一組 47
月 夜 47
燕 49
Ⅱ 第五詩集 夢の原頭にて (一九八六年)
〈Ⅰ〉
枕 52
蟹 52
一篇の詩 54
栞 55
幻肢痛 56
牛頭を喰らう 56
物 差 58
耳 58
蓮 根 59
神戸・元町 60
近江にて 61
塩 62
石 榴 63
函館本線 64
かご船譚 66
〈Ⅱ〉
とおふをくらう 68
流 木 ―絵の話― 69
夕 陽 71
夢の原頭にて 72
睡野の走者 73
巣山の鴉 75
港町にて 77
〈Ⅲ〉
幻 岬 78
密 航 79
犬の貌 80
不安な地方 81
菊の花 82
旧―新荘村から 84
海ほおずき 85
夜の艤装岸壁 85
記 録 (台風五号) 86
失 語 88
部屋にて 89
Ⅲ 第六詩集 沖縄島 (一九九二年)
〈Ⅰ〉
風の島 92
〈Ⅱ〉
チビチリガマから 95
首里城趾にて 99
喜屋武半島・米須原 103
ゆうな記 106
一枚の写真 111
荒崎海岸 112
ある死 114
雨 117
指 117
ローソク 118
トマト 120
命 日 120
宮城遥拝 123
コバテイシの木の下で 124
群 隊 127
点 景 128
カミのハイ 130
縄 ―久米島・一九四五年八月二〇日― 132
闇の中 ―アブチラガマにて― 134
風のゆくえ 136
水 筒 138
黍 野 139
夏 至 141
一万六千五百日めの夜 141
〈Ⅲ〉
カデナ、カデナ 143
一〇四号線 144
昼 顔 146
檻 147
Ⅳ 第七詩集 海色抄 (一九九五年)
笛吹鯛 150
がしら 151
イワシ ―畠山耕治に― 152
コウロウ 153
ヤガラ 154
ゲンナイ 156
スクサシ 157
鰡 159
鯊 160
シイラ 161
めごち 163
めひかり 164
素 魚 166
アカメ 168
ヤケド 169
マンボウ 171
サイラ 173
鯖 174
にろぎ 175
どろめ 177
ヒラメ 178
シルイチャのすみ汁 180
マグロ屋で 181
Ⅴ 第八詩集 きみあーゆうあ (二〇〇一年)
〈Ⅰ〉
踏み屋 畠山耕治よ 186
狸の膏 187
蛇 188
猫 柳 190
〈Ⅱ〉
写 真 191
きみあーゆうあ 192
卵 194
生きる 大阪・海遊館にて 196
海 197
〈Ⅲ〉
みちすがら 199
輪廻の森 200
蟹 202
収骨室で 土佐文雄に 205
花の色 206
〈Ⅳ〉
蜆 207
汁 粉 佐田岬にて 208
太沽にて 210
呼ぶこえ 211
〈Ⅴ〉
立 葵 213
仮設風景 215
めしつぶ 216
西 蔵 218
雨 218
一匹の蜂 220
ミミガーのエレジー 222
音のない波打ちぎわにて 224
釧路・鴎 226
詩集解題 あとがきにかえて 227
Ⅵ 第九詩集 幻日記 (二〇〇六年)
幻日記 232
曠野のラッパ 233
渇 仰 235
吃 音 237
胡 瓜 241
ヒロシマ・中区・中の島 242
銀杏の記憶 244
二〇〇三・秋夜 246
最初のヒロシマ 248
電車をまちながら 250
その日の鴉 251
流れてゆく 253
母の名前 254
鬼 260
けむりのゆくえ 261
比治山の蝶 265
木が見た 266
鳶 268
朝 顔 270
思惟の木 271
笑い 三つ 272
カンナ 274
渇 く 276
落日・それから 278
少女の日記 279
〈初期三詩集〉
Ⅶ 第一詩集 その次の季節 (一九五三年)
長篇詩ジャップの歌より 282
夕焼け 282
雑草のように 282
ニッポン・独立 282
異国的 283
三等船室 285
行 列 286
封切せまる 287
職安で 287
錆 288
一九五二年の日本 289
眼 291
その時刻 292
血!暴落 292
黒の時代 293
鴉の国 293
夢じゃなかった 294
その次の季節 295
日本荒地 297
地獄にて 298
人形の島 300
母の貌 301
幻 想 ― scenario ― 302
Ⅷ 第二詩集 下水道浚渫中 (一九五九年)
〈Ⅰ 死者の記録〉
闇の証言 306
傷害致死 308
戦 争 1 309
戦 争 2 311
言葉の兵士 314
絵の電車 315
奴隷の朝 317
死者の記録 319
〈Ⅱ Capitalism〉
金 魚 322
貧しい平和 323
鳥の話 324
Capitalism 326
羊の肉 328
由子の掌 329
重たい夜 330
〈Ⅲ 下水道浚渫中〉
轢かれた日本の娘 331
市営住宅抽籤場 333
バスの駅で 335
下水道浚渫中 336
ある港で 337
病 巣 339
ある雨の夜に 340
工場へ行く少女 342
Ⅸ 第三詩集 その夜の記録 (一九七二年)
〈Ⅰ〉
小さい心 346
北の旅 347
雪の記憶 348
その夜の記録 349
馬の系譜 352
烏 賊 354
ひまわり 355
〈Ⅱ〉
にろぎのうた 356
足摺岬 357
桂浜の石 359
窓から 360
少 年 362
鳩より鴉 363
わが祭 364
海 365
〈Ⅲ〉
月灘にて 一九七二年秋 366
告 発 状況 Ⅰ 367
新緑異聞 状況 Ⅱ 370
仁淀川・川口にて 一九七〇年 370
ポールという男 372
ある夕景 374
風 景 一九六七年冬 375
ヴェトナムの椰子 376
堺臨海工業地帯 377
旧 呉軍港にて 379
青の匂い 380
黒 鯛 382
不景気な話のプロローグ 383
蠅 殺 385
御堂筋にて 385
朝鮮漬 386
Ⅹ 未収録詩
【一九四〇年代】
灰色の悲歌 390
終電車点景 390
【一九五〇年代】
素描・秋 392
午 後 393
昼の断崖 394
朝 鮮 394
下川口で 399
この断層を埋める 400
今日と明日の間 401
蟻地獄 407
【一九六〇年代】
銭没有 409
ひろしま 409
約 束 409
ハガキ ―足摺岬にて― 411
鹿の革 411
アメリカ製 413
ヴェトナムについて 414
魚 415
とどめのうた 415
五月のうた 418
【一九七〇年代】
海 420
江の口川 七一年 420
石の村 422
駅にて 423
くえの死 424
鋲 螺 425
貝の血 427
不入山望遠 428
せんだん 429
森のある風景 431
立 秋 432
(続)せんだん 433
白 樺 435
地 上 435
一つの秋 436
杉の川 438
暗い九月 439
鎌の音 440
とおい音 441
もどらぬもの 442
フェリーボート 443
五 月 444
一つの題・三つの題名 444
小さなれきし 446
ある地平 447
【一九八〇年代】
眼科病院で 449
永定河 449
首 (上) 450
首 (下) 452
藁の敵 455
海の土語 456
竹林にて 457
小尻記者への挨拶 458
推 す 459
山原さんへの手紙 460
彼我の間 462
石 炭 463
柿 464
塵 464
三椏の花 465
下関にて 466
麦 畑 466
光りもの 467
タ イ 468
群青の夏 469
朝倉・曙町 470
信州・須坂にて 472
梟 473
蝉 474
イラブチャー 475
あすへ 476
最後の戦死者たち ―震洋の夏― 477
【一九九〇年代】
知覧から 481
ギーザバンタ 482
殻 483
ボ ラ ―海色抄(十)― 484
黒いこけし 485
料 理 486
吐 血 487
一九四五年・知覧・春 487
他界にて 489
幽 霊 490
キスゴ ―海色抄(十三)― 491
呪縛の海へ 491
遺 念 495
さくら・さくら 496
骨 497
夜の食卓 498
樹 影 499
雨 季 500
ゴトゴト 501
対 話 503
沖縄の砂 503
白い雲 (一) 505
白い雲 (二) ―茱萸の木― 506
嘉数高地 507
スケッチ・嘉数公園 508
摩文仁 509
遊動円木 509
大磯ン駄場 ―中村市双海にて― 511
原 罪 ―ヒロシマ 一九九五・ 九・六― 512
白 桃 ヒロシマ・一九九五・九・六 (その三) 513
ある梟首 ―膏どり一揆の件― 514
死者の記憶 517
デス マスク 518
生きものたち 520
無許可耕作地 521
S村・残像 522
提 燈 523
落 雁 524
豪雨の朝 525
ライオンの歯 526
夏の終わり 528
レイテ 528
或る部品説 530
ノトロ岬 532
ハ ル 533
釧路の鴎 535
草の記憶 536
【二〇〇〇年代】
草の記憶 (二) 539
小叙景 541
海 月 542
栗の花 543
蝶の死 545
老 梅 546
昭和17年 548
失語の木 549
瓶の中 550
楮のとき 551
米 552
菊 (一) 553
蝉 555
青き島や 556
残波岬にて 557
九文半の靴 559
青椒肉絲 564
枕 566
南洋にふる雪 ―ある漁船員の死― 567
此岸にて ―鼻山耕治とのわかれ― 569
実 験 571
朝の散歩 572
或る残党 573
中村の夜 (一) 573
土佐みずき 574
宇品にて 575
海辺の病院にて 576
海辺の病院にて (二) 577
XI 解説
大崎二郎と詩誌「二人」 西岡寿美子 580
剛直尖鋭な精神の軌跡
―大崎二郎についての小試論 長津功三良 586
戦後詩の戦争責任を生きる人
―『大崎二郎全詩集』に寄せて 鈴木比佐雄 598
XII 大崎二郎 年譜 615
あとがき 628
編註 630