コールサックシリーズ

三谷晃一
『三谷晃一全詩集』
なぜ三谷さんは福島県を離れずにそこに留まり、そこから発信し続けたか。その答えが「謙虚で控え目な文化」の現場からしか、自らの詩作や評論などの表現行為が危うくなることを熟慮していたのでなないか。その意味では二十世紀後半に二十一世紀の時代がどのような切実な課題に直面するかを透視していたことは疑いがない。(鈴木比佐雄「解説文」より)

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A5判/560頁/上製本 ISBN978-4-86435-236-9 C1092
定価:5,400円(税込)

『三谷晃一全詩集』,詩,現代詩,福島

発売:2016年1月26日



【目次】

第一詩集 蝶の記憶 (一九五六年)
雪橇の歌 18
小さいイヨルフの歌 18
噴泉のほとり―または〈天界通信〉 19
小さなワルプルギスの夜宴に寄せて 19
旅 信 20
Vegaに 21
小樽遠望 21
記 憶 22
わが夜の歌 23
蟇の歌 23
暗い森 24
部 屋 25
霧 笛 26
幻影の街―または「不安の季節」 27
夜の訪問者 28
29
断 章―来らざる人に 29
30
初 夏 30
SKETCH 31
秘 語 31
夜汽車 32
あるたそがれに 32
部屋で 33
33
平 日 34
地 上 34
ぼたん雪 35
35
明 日 36
予 感 37
37
Echo 38
残 照 39
馬 耕―車中で 39
裸木の歌 40
ほそい雨の糸は 41
生について 1 41
生について 2 42
生について 5 妻入院。百日経つ。 42
生について 7 42
生について 8 43
生について 9 43
跋 上野 菊江 43
あとがき 44

第二詩集 東京急行便 (一九五七年)
夜の希望 48
廃 都 48
眠りのなかから 49
もしもそういう時が…… 51
大鹹湖 53
JOURNALISM 53
工場の片隅で 55
Officeで 56
花のようなものが 57
クレエンに凭れる人 58
豚の顔 59
挿 話 60
送電塔の歌 61
東京急行便 61
地底の河 63
石 廊―Angkor幻想 64
あとがき 65

第三詩集 会津の冬 (一九六四年)
きんぼうげのうたの歌
過 去 70
破 片 71
72
戦 場 73
迷路について 74
風 景 76
病院で 77
止り木の上で 78
尾行者 79
死んだ犬に 81
栄養考 82
ペンギン考 84
ペンギン考 その2 85
ペンギン考 その3 86
87
88
会津の冬
会津の冬 89
芒ケ原 90
蕎麦の秋 90
鶴ケ城趾 91
辺 境 92
馬のタワシ 93
正月の詩 93
ピストル 94
おにぎり 95
遠 足 95
コイのぼり 96
フキノトウ 96
選 挙 97
秘 密 97
コロッケ 98
雨の日の会話 98
入道雲 99
100
未来を掘る 100
若い力 101
夜明け 102
石の言葉 103
あとがき 104

第四詩集 さびしい繭 (一九七二年)
さびしい繭 108
幻 影 108
越天楽 109
太郎のはなし 110
虹のはなし 111
日本語が 112
113
シルク・ロード 114
Danny Boy 115
無花果のうた 117
INVISIBLE 118
失踪について 119
黄色い繭 121
韃靼人アリギルへの送辞 123
カクメイはいま…… 124
戦 場 126
Ⅱ わが郷土望景詩
会 津 127
芋 煮 129
馬喰の町 130
白く長い道 130
碑 いしぶみ 131
学 校 小樽遠望1 132
海 小樽遠望2 133
噓 小樽遠望3 133
むかしの歌 小樽遠望4 134
乾 盃 小樽遠望5 135
D.B.Mackinnon教授の思い出に
 小樽遠望6 136
多喜二碑 小樽遠望7 137
ストーム戯詩 小樽遠望8 138
あとがき 139

第五詩集 長い冬みじかい夏 (一九七五年)
Ⅰ ひとつの旅
捜す 146
パリ・八月 147
グランド・コルニッシュで 148
長い冬みじかい夏 150
空港で 151
あいさつ 152
こんどパリに行くときは 154
155
ARIZONA COPPER 156
Ⅱ もうひとつの旅
そういう時は 157
ウナギ考 158
FACOM230/10試論 159
シシャモが唄う 161
RIVER OF NO RETURN
   ―童話風に 162
未帰還者 164
カクメイ・あるいは夢について 165
挿 話 168
某月某日 169
ある別れに 170
171
ふるさと 172
防人の歌考 173
片雲抄―1680年代の記録から 175
あとがき 176

第六詩集 ふるさとへかえれかえるな
               (一九八一年)
石狩原野で 180
ごくまれに 181
さくらの樹の下には 182
ふるさとは 183
東京にいくと 184
時 間 184
神さま 185
破 片 186
187
昔ばなし 188
鉢植え 190
そいつ 191
ある乞食の話 192
つきあい 193
みやげばなし 195
ウルピア・あるいは遺跡について 196
あとがき 197

第七詩集 野犬捕獲人 (一九八六年)
野犬捕獲人 202
DAWN 203
内 部 204
205
光 り 207
多 忙 208
冬の太陽 209
訃 報 210
冬の時代 211
パーティのあとで 212
213
215
Perspective 216
モアイ 217
ホーキ星 218
光 点 220
アフリカ遠望 221
夜行さま 223
目の時代 225
国 境 226
定 刻 228
雪原で 229
信 号 230
「ゆうびん、し」 231
小さい秋・大きい秋 232
高山紀行 233
津和野 234
小樽挽歌 235
「三春滝桜」伝承 236
医王寺で 237
塩屋埼で 238
木賊温泉 239
白河関址 239
裏磐梯 240
田中冬二・その失われた詩篇について 241
詩人の顔 242
あとがき 243

第八詩集 遠縁のひと (一九九二年)
遠縁のひと 248
おおきな街で ―一九九〇・八・一五 249
ごく個人的な「戦争」の一記憶 250
ランプの火屋を 252
廃 都 253
わが祖アテルイ 254
おくのほそ道 三題 255
竹縮む 257
野良猫に言う 258
あおばずく 260
わが家の地理 261
病院の片隅で 262
親子丼 263
一九九〇年正月 264
多 忙 265
待ち人来たらず 266
電車のはなし 267
只見川 268
山あいの田んぼに雨の降る日は 269
ご馳走 270
あとがき 271



第九詩集 河口まで (二〇〇二年)
要 約 276
駅頭で 277
「求む、詩人」 278
坂のある街で 279
雪の日郵便ポストの前で 280
私語 する 281
旅びと 282
284
奈落へ 285
救急車 287
別 れ 288
参加賞 289
疾 走 291
真夜中のラジオ 292
らむぷ 293
「人生」ということ 294
角の菓子屋が 295
ソーメン 296
プリズム 297
日曜日 298
東 北 299
野鳥論 299
竹の風景 301
石榴のいう 302
白樺樹林 303
河口まで 303
あとがき 305

さびしい繭抄(一九七三年)
Conte de Taro Urashima 310
太郎のはなし 311
La légende 312
Etenraku 313
Fantôme 314
越天楽 315
幻影 315
Un œuf 316
317

三谷晃一/篠崎三朗詩画集
『ふるさとへかえれかえるな』(一九七六年)
無題(きんぽうげの花が) 320
無題(たぶんどこかで) 321
無題(ふるさとは) 322
無題(ふるさと) 323
蕎麦の秋 324
無題(いちめんの) 325
芋 煮 326
馬喰の町 327
無題(毬は) 328
破 片 329
無題(あそこに埋めた) 330
神さま 331
無題(夢のなかで) 332
無題(空をめぐろう) 333
無題(ブリトンの) 334
Mckinley 335
あとがきに代えて 336
未収録詩篇
『きんぽうげの歌―ふるさとは永遠に―』
             (一九八三年刊)より
熱帯魚のゴーゴー 340
輪かんじき 341
五月のうた 341
開拓地で ―ある営農青年たちに― 342
登 高 343
未来にむかって 343
いちばん最初に 345
そこに子供たちが 345
椅 子 346
那須の一日 347
海辺の村で 348
安達太良で 349

詩選集『星と花火 ふるさとの詩』
(二〇〇一年刊)より
星と花火 350
雨 戸 350
山の春 352
若い五月に 353
初夏の村で 354
355
魚をとる 356
白 鳥 357
砂地にタネを 357
ランプ 358
少 年 359
秋祭り 360
『朗読詩選』(一九四八年一月刊)より
 組詩 眞夏の夜の夢 夏祭の幻想 360
「鞴」一号(一九七六年八月刊)より
四国の旅 362
「鞴」二号(一九七六年十二月刊)より
うらむな 362
「黒」二十号(一九七七年十二月刊)より
通 信 364
「鞴」十一号(一九八〇年九月刊)より
365

「鞴」別冊、加藤進士追悼号(一九八二年七月刊)より
痕 跡 366
『福島県現代詩人会詩集』(一九八四年刊)より
湯の岳 367
『福島県現代詩人会詩集』(一九八五年刊)より
迷 路 368
『福島県現代詩人会詩集』(一九九二年刊)より
詩 論 369
『福島県現代詩人会詩集』(一九九三年刊)より
戦 友 371
『福島県現代詩人会詩集』(一九九五年刊)より
テレジン収容所に残された4000枚の絵 372
『福島県現代詩人会詩集』(一九九六年刊)より
人事課 373
グラジオラス 374
『福島県現代詩人会詩集』(一九九八年刊)より
374
「宇宙塵」二号(一九九九年四月刊)より
詩人のシャツ 375
『福島県現代詩人会詩集』(二〇〇〇年刊)より
某日 人を送る 376

「熱氣球」第四集(二〇〇〇年四月刊)より
永遠のかけら 377
『詩と思想詩人集二〇〇一』(二〇〇一年十二月刊)より
じいさんの話 ―幼年詩篇 378
「銀河詩手帖」一九二号(二〇〇一年十二月刊)より
火 山 379
『詩と思想詩人集二〇〇二』(二〇〇二年十一月刊)より
りんごの故里(詩論のような・そのⅠ) 381
「銀河詩手帖」一九七号(二〇〇二年十一月刊)より
大正 がない! 382
「銀河詩手帖」一九九号(二〇〇三年五月刊)より
手続き 384
「銀河詩手帖」二〇〇号(二〇〇三年八月刊)より
奥大道 385
「宇宙塵」七号(二〇〇三年九月刊)より
日常性(詩論のような・そのⅡ) 386
『福島県現代詩人会詩集』(二〇〇三年刊)より
水を飲む鳥(詩論のような・Ⅲ) 387
「宇宙塵」八号(二〇〇四年十月刊)より
389
ある日鎮守の森で 390
390
「鈴木 伝のあゆみ」より
鈴木 伝氏に 392
「盆地」(一九九五年十月刊)より
ECHO 393
作詞五篇
ほんとの未来 394
395
フロンティアこおりやま ~郡山市民のうたへ~396
397
おにぎり 398
地蔵櫻縁起 399
湖南頌 400

詩 論
「熱氣球」第八集(二〇〇九年二月刊)より
思い出すこと 404
『福島県詩人選集』(一九六八年十一月刊)より
戦後の福島県詩壇 417
『ふくしまの文学Ⅲ』(一九八五年十一月刊)より
福島の詩 420

「黒」一六号(一九六九年七月刊)より
架空の対話 連載第一回 423
「黒」一七号(一九七〇年八月刊)より
架空の対話 連載第二回 435
「黒」一八号(一九七一年十月刊)より
架空の対話 連載第三回 448
「詩と思想」一九九二年八月号 より
現代詩の〝系図〟を読む 455
「詩と思想」一九九八年十一月号 より
現代のなかで持つ「地域」の意味 457
「街こおりやま」№246(一九九五年十月刊)より
「神の声」 465
「街こおりやま」№295(一九九九年十一月刊)より
論外!東海村事故 467
絶筆「街こおりやま」 469



解 説
知的抒情のなかの〝ふるさと〟
            菊地貞三 474
自律の発光―三谷さんの人と作品―
            真尾倍弘 477
三谷晃一さんの風景
            槇さわ子 482
ふるさとを潔く生きた、志の詩人
―三谷晃一論序説― 
            深澤忠孝 486
還らぬ旅びと―三谷晃一の詩を読み解く
            若松丈太郎 504
「地域」と共に世界を詩作し思索した人
            鈴木比佐雄 525

三谷 晃一 年譜 540


あとがき
全詩業の集約なって 安部一美 548
『三谷晃一全詩集』によせて 太田隆夫 549
三谷晃一全詩集について   齋藤貢 550
三谷晃一氏と私 高橋静恵 551
三谷さんの複眼的な思想 浜津澄男 552
『三谷晃一詩集』の刊行に寄せる 前田新 553
私の好きな三谷さんの詩 室井大和 554
新しい読者に新しい発見を 若松丈太郎 555


編註 556

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