和田文雄評論集
『続・宮沢賢治のヒドリ―なぜ賢治は涙を流したか』
和田さんの粘り強い東北の農民たちに寄せる論考は、賢治の置かれていた情況の中で賢治がなぜ「雨ニモマケズ」を書かざるを得なかったか、なぜ「涙を流したのか」を知るための想像力の基礎を提示している。その労作を多くの賢治研究家に読んで欲しいと願っている。(鈴木比佐雄「解説文」より)
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46判/256頁/上製本 ISBN978-4-86435-223-9 C1095 |
定価:2,160円(税込) |
発売:2015年12月8日
【目次】
一章 書家の探求したものと賢治の時代
一 改変された「雨ニモマケズ」の詩
二 「雨ニモマケズ」に加えられた「モ」について
三 石っこ先生宮沢賢治の「既知」
1 宮沢賢治の晩年
2 石っこ先生とは
3 昭和初期の農村問題―内務省の認識
4 内務省『東北地方農村疲弊状況』調査資料発行No. 16、17、18
5 「然シ乍ラ」何を見、何を感じ、何をするのか
6 「農村疲弊」と「農村振興」の「既知」と認識
二章 それぞれの「雨ニモマケズ」
一 「雨ニモマケズ」の「モ」について
1 賢治の「モ」と石川氏の「モ」
2 歌詞に現れた「モ」
3 尋ね人
二 「雨ニモマケズの「ヒドリ」と「ヒデリ」について
1 「明治以来最高の詩」ー谷川徹三の講演
2 「遺作・雨ニモ負ケズ」と「原文・雨ニモマケズ」
3 ことば事映え
三 昭和初期の花巻付近の気候
四 賢治辞職、独居、自立の下根子の暮し
1 「下根子」の経営決算」菊池忠二の分析
2 菊池忠二の「農耕の経済的基礎について」(要約)
3 事業と人と
集会案内
講義案内
三章 石川栄助の〈ヒドリ〉
一 「四門出遊」の「北の門」に「行ッテ」いた
1 「仏滅」と「大吉」と
2 『宝船』「雨ニモマケズ」の詩の原文
3 「四門出遊」(遊観)のこと
4 「ヒデリ」より悲しい「ヒドリ」
5 「編集子」の謎の存在
6 石川栄助の〈ヒドリ〉
7 数学、統計学への信用性
8 石川栄助とはどんな人か
9 石川栄助の経歴
四章 花邨 詩人二人そして
一 「山荘」の鬼 未津きみの『高村山荘』
二 尾崎喜八「晩秋午後の夢想」
三 「町人の故郷も村」か「都市と農村」の現実
四 高村光太郎の「ブランデンブルグ」
五 『典型』の既知から未来の津港へ
五章 『続・宮沢賢治のヒドリ―なぜ賢治は涙を流したか』の外延
【一】風狂の会講演の要旨 詩誌「さやえんどう」掲載
その一 第三三号「風狂の会、講演要旨」
1 同世代の人たち
2 「貧農史観」とは
3 「雨ニモマケズ手帳」と詩人永瀬清子さん
その二 第三四号「風狂の会講演要旨」
1 「雨ニモマケズ手帳」の復原
2 「手帳」復原と桜井弘
3 「ド」と「デ」
その三 第三五号「風狂の会講演要旨」
1 都鄙のこと―昭和四年のころ
2 宮沢賢治―昭和四年のころ
3 「地方詩原論」のこと
【二】詩誌「千年樹」掲載
その一 第四六号「ヒドリ神社と宮沢賢治」
1 ヒドリ神社の位置
2 倭文の名付け
3 倭文神社
4 倭文の字義
5 しずのおだまき
6 佐々木喜善と宮沢賢治
その二 第四七号「〝ヒドリ〟国会審議へ」
1 「ひどり労賃」への皺よせ
2 勝間田清一議員と企画院事件
3 二つの国会会議録
4 〝歩み入る雪後の天の蒼の中〟
その三 第五四号「常陸風土記とヒデリ」
1 亢陽 穀実の豊稔なり
2 唐の詩人杜甫のヒデリ
3 「ヒドリ」三つの因縁
【三】詩誌「詩界」No.259日本詩人クラブ発行
宮沢賢治の「ヒドリ」と高村光太郎の「ヒデリ」
一「雨ニモマケズ」詩碑と拓本
1 「雨ニモマケズ…」三枚の拓本
2 修正されなかった「デ」
3 表記誤用の詩碑
二 「中世的厳粛性」の忍耐
1 「江戸のやつら」
2 「雨ニモ…」の碑追刻
3 「陥穽」
三「ヒドリ」の此岸と彼岸
1 産業組合青年会と「ヒドリ」
2 賢治「モラトリアム」を絶叫する
3 「ヒドリ」の感覚
4 「ヒドリ」の此岸と彼岸
四 あざけりと屈辱から……
【四】詩誌「花」第四八号 花社
私の好きな詩人―永瀬清子
一 流れるごとく書けよ
二 「民俗学の熱き日々」
三 農婦ぐらし
解説文 鈴木比佐雄
あとがき