黄英治 小説
『前夜』
ヘイトスピーチに加担してしまう元在日韓国人の青年とヘイトスピーチを無くしたい在日朝鮮人の青年が二つの相反する世界の論理を語りつくす。(帯文より)
46判/352頁/並製本 ISBN978-4-86435-196-6 C0093 ¥1500E |
定価:1,620円(税込) |
発売:2015年6月12日
「毎度お騒がせしております。こちらは日本社会のゴミ、ダニ、うじ虫、在日韓国人、朝鮮人の駆除処分係でございます。日本を罵り続ける不逞鮮人どもをこれ以上生かしておくわけにはいきません。実力行使で朝鮮人の横暴に立ち向かわなければなりません。日本人のみなさん、ご支援ありがとうございます」
生まれて初めての快感が浩規の全身を刺激していた。この快感は自慰の射精の瞬間、脱糞するときの解放感よりすごい。あいつらおれに怯えている。おれを怖がっている。おれを恐れている。夜勤ラインの無力感。ヒステリー青線正社員女の八つ当たり。人事の勝手な要求。卑屈な就職活動。親父の嘲り。お袋の愚痴。そんなものは無意味だ! 忘れろ!おれ自身が生きるために、奴らを、殺せ! 殴り殺せ! みな殺しにしろ!
(本文より)