詩選集シリーズ
『小田切敬子詩選集一五二篇』
まっ白に 洗いさらされた/むつぎの かざぐるまが/すずしく すきとおった/朝の指先に押されて/くるくる/まわっている//羽根が くるりと むきをかえる/いぬふぐりの まばゆく青い/小花を散らした/かすみがかった産着を/広げたり たたんだりして/月満ちた女が/待ち侘びている(詩篇「かざぐるま」より)
解説:佐相憲一、鈴木比佐雄 |
四六判/256頁/上製本 ISBN978-4-86435-182-9 C1092 ¥1500E |
定価:1,620円(税込) |
発売:2014年12月5日
【目次】
第一詩集『海とオルゴール』(一九六九年刊)より
かざぐるま
オルゴール
来 歴
輪
室
ミラージュ
革 命
おしえないのに
星一つ
ささやき
雫
ぶらんこ
め
海
第二詩集『花茣蓙』(一九七九年刊)より
かおり
白 梅
蔦
たんぽぽ
はるじおん
白もくれん
かきらん
父の樹
あじさい
合 歓
むしる
傾く木
コスモスの家路を
すずむし
秋と女
寒 椿
第三詩集『流木』(一九八一年刊)より
ごまめの歯ぎしり
矢 印
ボタンとネックレス
やむをえない
誰の世・君が代
時への表札
踊る女
流 木
闇
遠山の雪
わたしからの鎮魂歌
呼び声
透視図法について ─街のための─
罪のない魚たちへのレクイエム
出水の冬
さんづけされない男の話
甕
堀のある家
かざしあう手
集会・一九七八・初夏
ことば
第四詩集『孟宗』(一九八二年刊)より
孟 宗
謎
悔
霖 雨
跡
苦い絵
ゆ き
秋の敷物
木の愛
かたくりの花
アンソロジー『ヴィンカ』(一九八三年刊)より
血 管
コアラにはしずかなユーカリを
ねむる息子
うなじ
第五詩集『ナイチンゲールのうた』
(一九八六年刊)より
ダモクレスの剣の下には
微 笑
長いもの考
闇の回路
無理心中─娘のいいぶん
秋 風
鳥の刻
伝治碑との対話
埋める
斧
影
小さな宿題
船
蒼く凍えた坊主頭のためのひとしずくの涙
仰向く
傷のよびごえ
階段あるいは段階
酋長に会いに─夜噺
第六詩集『川の多いまちで』(一九八八年刊)より
瀬 見
水 源
ほとりにて
蘇 生
新庄祭
川の多いまちで
翼
詩文集(第七詩集)『もうひとつの椅子』
(二〇〇〇年刊)より
もう一つの椅子
ゆりの樹の下にくると
呼吸器
ふゆのうた
よく晴れた十一月の朝
あじさい
三つめの手
ゆめの幌馬車
五月の最初の日には
子育て覚え書き
第八詩集『おかあさん』(二〇〇八年刊)より
夢の海辺で
ちくのはな
布の日
みつめる
花の廊下
りんご
ほころび
第九詩集『ねこのかくれが』(二〇〇九年刊)より
猫
霧色の猫
レッスンは鼻声音で
世界へ
猫と詩と
第十詩集
『私・またはエルフードの一本のなつめやし』
(二〇一二年刊)より
伝 言
タンポポ
ハイジの村から
アップリケをするときには
カフタンはどうやってつくられたか
水祭り
私・またはエルフードの一本のなつめやし
船・わたしのらくだ
美しい歌とであったのは
石が夢見た
私にであった
花を捧げる
技をもつ人はその他大勢の人の中にいる
祈 り
ソウルの空から
ぶるぶる
つばめの原発
空のアルバム ─あとがきにかえて
第十一詩集『憲法』(二〇一三年刊)より
光と闇
水球の憲法
ともしび
初恋の憲法
五月十四日
九条世界会議 参加報告
二〇〇八年の七夕
いちまいのスカーフが
二〇〇九年十一月十三日の秘密協定
島
群 花
水の星に降る恵みの雨
軍隊のない国を
独立する日本
詩集未収録作品より
三月の顔
朝刊読みつつパン食みながら
竹林でお茶を
活字の大きさ
おみやげ
森の吠えごえ 戦争マラリアの記憶
手をつなぐこと
じゅごんのゆめ
解説 詩人論
真に生き生きとした詩世界 佐相憲一
天上からの「かざぐるま」を感受する人
鈴木比佐雄
略 歴 252