奥主榮エッセイ集
『在り続けるものへ向けて』
この本には詩人の書くエッセイならではの詩の匂いがします。それは痛みの匂いです。あわただしい現代社会の中でともすると取り残されてしまうもの、あるいは忘れ去られてしまいがちなものを大切にする心には、さまざまな痛みが去来します。自分自身の記憶の痛み、他者の痛み、社会の痛み。生きることが傷つくことだということは多くの人びとが感じていることでしょう。(中略)痛みを書物などで共有することは、いまの混沌とした時代、特に切実になっていると思います。このエッセイ集からは伝えることの大切さが感じられます。――佐相憲一(詩人、評論家)解説文より
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解説:佐相憲一 |
四六判/232頁/ソフトカバー/ISBN978-4-86435-158-4 C1095 ¥1500E |
定価:1,620円(税込) |
発売:2014年4月24日
【目次】
Ⅰ 物語と詩のあいまで
大樹
浴槽
風琴飛行
うすのろ
ぼうくうごう
夜の音楽
Ⅱ 生きることと描くことのあいまで
小さなお店
表現者
在り続けるものへ向けて
「ジョンの魂」
カメラのこと
ろくろ首の話
マンガが描いたもの
「W3」の夏
描かれなかった詩のために
花をちぎる
死だけが間にあった
Ⅲ 私と社会のあいまで
私自身の中の偏見
かつて昭和の御世には
女先生の背景にあるもの (「二十四の瞳」小考)
事実と虚構のはざま
神聖さということ
自己犠牲は最大のテロリズムである
つい余計なことを
三・一一
Ⅳ 銀幕と現実のあいまで
映画館のこと
ラピュタ阿佐ヶ谷
だるまストーブのある教室
(映画「実録連合赤軍事件」のこと)
Ⅴ ふたたび、物語と詩のあいまで
妖精が通りすぎていく
解説
痛みを伝える願いのかたち 佐相憲一
初出一覧
あとがき
略歴