和田文雄評論集
『宮沢賢治のヒドリ―本当の百姓になる
ヒデリかヒドリか。もう悩む必要はない。
本人が手帳に書き記したとおり「ヒドリノトキハナミダオナガシ」と読めば良い。そうすればナミダの理由が、「雨ニモマケズ」の真実が身にしみて伝わってくる。いや、ヒドリでなければ宮沢賢治の魂に触れることはできない。
帯文:牧野立雄(宮沢賢治研究家)
本人が手帳に書き記したとおり「ヒドリノトキハナミダオナガシ」と読めば良い。そうすればナミダの理由が、「雨ニモマケズ」の真実が身にしみて伝わってくる。いや、ヒドリでなければ宮沢賢治の魂に触れることはできない。
帯文:牧野立雄(宮沢賢治研究家)
栞解説:鈴木比佐雄 |
四六判/392頁/上製本 ISBN978-4-903393-35-3 C1095 ¥2000E |
定価:2,160円(税込) |
発売:2008年10月30日
【目次】
目次
一章 花邨恢々
一 山折哲雄さんへの手紙
二 土地ことばヒドリ
1 ヒドリは方言ではない
2 ヒドリの用
三 ヨクミキキシワカリ
文学財産の改竄
四 ナミダのカンパイ
五 匡救ヒドリのナミダ
1 潅漑用水のこと
2 「農村疲弊」とは
六 椿説 香椿 石すこ要垣
二章 宮沢一族(まき)と百姓一揆 ―賢治こころのヒドリ―
一 高等農林と農学校
二 南部藩百姓一揆と花巻
1 南部地方の飢饉
2 花巻、稗貫、和賀のヒドリ一揆
3 詩「郊外」の意味するもの
三章 同世代の二人の詩人
一 行動した詩人渋谷定輔と山峡の歌人西塔幸子
二 『農民哀史』の渋谷定輔
1 詩集『野良に叫ぶ』と『農民哀史』
2 下根子の農業と渋谷の農業
3 百姓ぐらし
4 グスコーブドリの農業
三 花巻の歌人西塔幸子
1 料理屋に売られた教え子
2 凶作を詠う
四章 賢治愛着
一 愛着
二 松田甚次郎の来訪
1 高揚する賢治
2 下根子の訓え
3 赤石村のヒデリ
4 羅須地人協会と国民高等学校
5 「盗まれた白菜の根へ」の異常さ
︱賢治は畢竟傲慢なのでがんす︱
五章 イーハトーヴォ 相沢史郎の尋ねるもの
一 飢える
1 デンデェラ野
2 棄てる
3 翻訳と方言詩または死
4 百姓と肥料商
二 「イーハトーヴォの」
1 相沢史郎の「イーハトーヴォの」
2 イーハトーヴォの原型1
「イーハトーヴォの」の詩法
3 イーハトーヴォの原型2
保阪嘉内への手紙
4 イーハトーヴォの原型3
ア 夢想と破壊
イ 結核発病から
5 イーハトーヴォの行くえ
三 子を見るに親にしかず
1 荘子の「無何有の郷」
2 神話「天の岩屋戸」
「天つ罪」と「国つ罪」
ア 水分樋放ちのこと︱大沢温泉のいたずら
イ 事依しのこと︱立派な質商になります
ウ 啼きいさちのこと︱父といさかいをする
エ 営田を壊す︱小作人と小作争議のこと
オ 勝ちさびのこと︱人のために死んでみせる
四 離農、帰農、旧離
1 離農
2 帰農
3 旧離
五 イーハトーヴォの愛称語
六章 農村疲弊そして懼れ
一 懼れ 1
1 満州につくられるイーハトーヴォ
2 農民芸術の分岐点
3 三度の故郷喪失︱大日向村
二 懼れ 2
1 疲弊からの脱出
2 加藤完治の基督教棄教と農村教育
(1)出生から『小農保護政策』まで(明治一七年~大正二年)
(2)安城農林から山形県自治講習所まで
(3)『土着と背教』のこと
(4)加藤の「善」の純粋性あるいは土着
3 「善」加藤完治のエチカ
4 「エチカ・人間の隷属、より善きもの」
三 懼れ 3
1 『日輪兵舎』と南郷村国民高等学校
2 捏造された史実・上笙一郎の偽書
四 懼れ 4
1 「本当の百姓」への艱難
2 「王冠印手帳」の悲哀
七章 み祭三日 そらはれわたる
主な参考文献、統計、調査資料等の一覧
あとがき