中村純詩集
『はだかんぼ』
午睡から目を覚ませ、「わたし」よ。/ひとりの女性詩人の深い痛みから生まれたことばたちが、/「わたし」の心をゆさぶり、掘り起こす。(帯文:落合恵子 作家・クレヨンハウス主宰)
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栞解説文:鈴木比佐雄 |
A5判/128頁/ソフトカバー ISBN978-4-86435-121-8 C1092 ¥1500E |
定価:1,620円(税込) |
発売:2013年9月20日
【目次】
序詩 水底の家族
―東北の海の底に在る、懐かしい死者たちへ―
一章「はだかんぼ」
はだかんぼ
足の裏
海の中の死者 ―汚染水の流され続ける東北の海に―
あの春
新しい人たちに ―子どもたちへの詫び状
ヒバクシャ
男を守れ
二章「ほおずき市」
祭 り
無窮花
ほおずき市
花 火
パッチム
夢
三章「もしも、私たちが渡り鳥なら」
やわらかな者たちへ
らせん
海と桜
路 地
勇敢な女に
もしも、私たちが渡り鳥なら―すべての母たちへ
四章「愛し続ける者たちへ」
ひとりの女性の写真に寄せて
八月六日の死者たち
愛し続ける者たちへ
生まれなかったあなたへ
水の子ども
樹の下に ―綾部の森に
川べりの街
あとがき
略 歴
詩篇
「はだかんぼ」
おふろあがりの君
はだかんぼ! と言って笑い
バスタオルを持つ私の手から逃げる
おしめもしない
お洋服も着たくない
はだかんぼ
部屋にあふれる君のわらいごえ
逃げる君を追うわたし
つかまえても つかまえても
するりとぬける はだかんぼ
どこまでもどこまでも
わらって逃げる はだかんぼ
ちいさなひとがたの天使
からだじゅうでわらう はだかんぼ
やわらかな はだかんぼ
わたしのところに降りてきた無垢ないのち
美しい はだかんぼ
無防備な はだかんぼ
やがて君はちいさな服なんか着て
色とりどりの絵本を見て
お話を聞いて
ほやほやと眠る
わたしは傍らで
そのちいさなまぶたを見ている
夜が静かに平和にあたたかい