片山壹晴詩集・評論集
『セザンヌの言葉―わが里の「気層」から』
片山さんは、絵画と詩の根底に
横たわる芸術作品を生み出してしまう
人間の心の秘密を解き明かす試みを、
純粋に自らに課してきたと思われた。
―鈴木比佐雄・解説文より
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解説:鈴木比佐雄 |
A5判/320頁/ソフトカバー ISBN978-4-86435-116-4 C1092 ¥2000E |
定価:2,160円(税込) |
発売:2013年7月19日
【目次】
■ 詩集『気層』
一章「気層」
気 層
雲のための日
風
囁 き
連 雀
傾いた木
インパチェンスの存在
秋の実存
調べと雲
冬に入るまえ
二章「部屋」
部 屋
物の目
分 解
迷 う
責 め
描いても
ザムザ
心のなれ
未完のままに
三章「わが里」
還 る
記 憶
わが里
村
織りなさず
先祖を弔う
うすい足音
思春期
谺
山荘から
四章「口を無くす」
口を無くす
目を見た
時 代
きょうの怒り
五章「二歳の太陽」
二歳の太陽
小さな背中
結べない
分節へ
待合室
戸惑い
あいだの始まり
さみしい夕陽
静かに思えば
■ 評論集『見るもの感じるもの』
一章「見るもの感じるもの」
セザンヌの言葉―その芸術の奥へ
二章「父からの系譜」
木島本陣歌碑・綾小路有長の歌の解釈
碑を刻んだ宮亀年
空海「秘蔵宝鑰」序の詩を解釈する
私の〝玉村〟という視覚的心象メモ
父からの系譜
三章「似て非なる表現」
似て非なる表現
詩の「範囲」
O君へ「辺見庸氏の詩について」
O君へ「再度、辺見庸氏の詩について」
名言を訪ねて
四章『Pの「哲学」受講』
Pの「哲学」受講
『「知」の欺瞞』の衝撃
M・ヴェーバーの予言
「芸術」と「アート」 ―幼児化する文化―
「架空」という閉ざしが生む「小児化」
「わかりやすさ」の陥穽
震災と表現
解説 鈴木比佐雄
あとがき
略歴
【詩篇紹介】
気 層
匂いある春の空気よ
密なる地層の空気よ
新たな生を迎え
ムスカリの澄んだ色のように
気層は光を澄ませ
天を仰ぐものたちが喉を震わす
遠くから母と娘の笑いが
どっとあふれ
金木犀の若葉はやたらと風に震え
稠密な波長のむこうに
無の無など無いようだ
わたしの気層は
稠密に連なる命に満たされ
問いに先立つ
ものの姿としてある
この私こそ呼吸するものとして
それを春の匂いとして
生ある匂いのものたちよ
生きる匂いのなかで
天を仰がず何を打ちはらうのか
地上の夢のなかで
春はながれてゆき
断想もないまま
稠密な青さのゆえに
何事も許されているというのに