コールサックシリーズ

渡邉倭文子ほか共著
『ことばの育ちに寄りそって』
この本は、渡邉先生を尊敬し、その実践の歩みと思想を本という形にして世の中に送り出したいと考える人たちの手によって生まれました。先生の実績が示すとおり、社会参加や自立までを見通しながら、目の前の一つずつの積み重ねを大切にする地道な営みこそが、子どもをも親をも成長させるのです。
中川信子(子どもの発達支援を考えるSTの会代表)―序文より
栞解説:鈴木比佐雄
A4判/80頁/ソフトカバー
定価:1,542円(税込)

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kotobanosodatini

発売:2010年12月24日



【目次】


序文 中川信子                    
はじめに 編集者一同                


Ⅰ 小さなスピーチクリニックからの伝言
  序章 「言語障害」の現場で50年  渡邉倭文子  
  第1章 「ことばの育ち」を促すために       
  第2章 課題の解説               
  第3章 学齢期                
  第4章 成人期 社会参加の6つの課題       


Ⅱ 保護者の立場から
安部理恵子  15歳になる息子の子育てを振り返り    
菅野弘美   成長を振り返って……そして、これから  
鈴木恭子   13年間お世話になって          
鈴木太美   先生と出会えて             
西岡史江   諦めないで?                  
澤木久美子  仲の良い友達に恵まれて             
畑中良子   休日の時間を楽しむ息子             
野木律子   ぼくの仕事はさしこ縫い             
日笠弘子   アッコちゃんワールド「きらら窯」           
柴田三吉   泰宏さん、明子さん撮影日記               


Ⅲ 当事者の立場から
日笠明子   散歩市                 
明前義照   京都に行ってきました                   


Ⅳ 臨床家として
早坂菊子(元広島大学)
  INREAL(Inter Reactive Learning&Communication)法について
    ―木の花ファミリーの実践の紹介も兼ねて―          
仲山佳秀(立正大学社会福祉学部)  芸術家の感性と幾何学者の論理  
宇梶恭子(言語聴覚士)  見えにくいけれども大切なこと     
鈴木みどり(特別支援アドバイザー)  無くてはならぬものは     
田畑明子(言語聴覚士)  「気づく」ことを大切に           
鈴木三樹子(言語聴覚士)  ひとつの言葉 ひとつの光景     
              数値には現れでない存在  

      
後記 
    渡邉倭文子  
    宇梶恭子   
    日笠弘子   
    安部理恵子  
    鈴木三樹子   



【序文】
                        
 
中川信子(子どもの発達支援を考えるSTの会代表)


 人を人たらしめる特徴のひとつが、「ことばによって、気持ちを伝え、互いに分かり合うことができる能力」です。ですから、ことばの発達が思わしくなかったり、ことばをじょうずに使えなかったりする時、子ども自身もさることながら、保護者の方たちの悩みは深刻です。ましてや、ことばだけではなく、発達全般に遅れがあると分かったときの混乱や苦悩は並大抵のものではありません。
 50年以上の長きにわたって、そんな親子を支え、揺らがず、しっかり寄り添い歩くことを続けてこられたのが渡邉倭文子先生です。日本における言語障害臨床の歴史と共に歩んでこられたと言っても過言ではありません。
 渡邉先生が言語臨床を始められた1959年(昭和34年)からほぼ40年後の1997年(平成9年)に、言語障害や摂食・嚥下障害と取り組む専門職である言語聴覚士の国家資格が成立し、平成22年現在では17000人を越える言語聴覚士有資格者がうまれました。国家資格成立によって言語障害へのサービス提供が改善された半面、言語訓練のスキルやハウツーは知っているものの、臨床家としてもっとも大切な“思想”に欠けている言語臨床家が増えている憂うべき現実もあります。
 この本は、渡邉先生を尊敬し、その実践の歩みと思想を本という形にして世の中に送り出したいと考える人たちの手によって生まれました。先生の実績が示すとおり、社会参加や自立までを見通しながら、目の前の一つずつの積み重ねを大切にする地道な営みこそが、子どもをも親をも成長させるのです。
 手早く、わかりやすい成果を出すことが求められる今の時代だからこそ、根本に立ち返り、本当に大切なことは何かを学ぶ必要があります。言語臨床に携わる方や、また、障害という現実を前に立ちすくむ保護者の方たちに、ぜひお読みいただきたいと願います。


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