平井達也詩集
『東京暮らし』
現代社会の苦味とリアルな生活実感。
バブル崩壊、不況、時代閉塞・・・。働き盛り世代の鋭さとほろ苦さとユーモアで、大都会と列島とこころを描く。第一詩集にして本格派。現代詩の逸材出現。とびきりの生きた詩をおくる。
解説文:佐相憲一 |
四六判/128頁/上製本 |
定価:1,542円(税込) |
発売:2011年2月25日
【目次】
序 詩
球技 6
Ⅰ 東京暮らし
おい 東京 12
転居 16
西武線 18
水曜日の焼き鳥 22
土曜日正午、蕎麦屋 24
豚くさい祝日 26
毒婦 30
ドラッグ・アイドル 34
新宿 38
保存方法 42
あなたは郷里でスープを 44
休暇はおしまい 48
出勤 50
Ⅱ 列 島
深夜便 54
山羊 56
潜水列島 58
感染 60
オフライン 64
連休 68
村を走る 72
農村の晩秋 74
お父さんは白い犬 76
傘 80
この坂道 82
いまだ前線は近く 86
Ⅲ こころ
だいだい色の海 92
嘘 94
遺失 98
います、いますか 100
私的因果論 102
夏の裏面 106
秋の裏面 108
見えない 110
夜に引っかかる 112
旅暮らし 116
パンツ 120
髭が伸びた分だけ 122
あとがき 126
略歴 127
おい 東京
おい 東京
おまえのふところに飛び込めば
きっと夢がつかめると
暮らし始めて二十年が経った
おまえの内臓はでかすぎて
深すぎて
いまだにその中で
浮いたり沈んだりしているだけだよ
はじめ考えていたことも
もう ときどき
忘れてしまうようになった
あの子と出会い
あの子を守ることだけは
がんばろうと思ったけれど
それもだめかもしれないんだ
おい 東京
そうすると悪酔いしないというから
今夜もきゅうりを齧りながら
おれはおまえに
おやすみをいうよ