大森ちさと詩集
『つながる』
何も驚くことはない/全てつながっているのだ/貴方も私も/町も村も/ネコジャラシも薔薇も/冬も夏も/手をとりあい/つながっている/十年前も今日も/百年前も今日も/手をとりあい/つながっている(詩:「つながる」より)
解説文:佐相憲一 |
四六判/128頁/上製本 |
定価:1,542円(税込) |
発売:2010年12月12日
【目次】
Ⅰ こころの花
こ こ
夕陽 Ⅰ
雨
流 木
涙
シャボン玉
海
ゆれる
空 転
過 信
見たことがありますか
雲の上
すみれ
椎の花
秋の日
哀しみ
手
Ⅱ 人の世
土の中で
空は果てしなく
積み上げる
散って行く
巡るメール
君子蘭
夕陽 Ⅱ
新宿東口小さな花屋
森の中へ
動く Ⅰ
動く Ⅱ
何でもないのに
可能性
無花果
歳月の花
野薔薇の中にいる
毬
氷の力
いいこと
つながる
Ⅲ ふるさと
村
過 疎
蜜柑畑
オリーブの木の向こうから
居場所
孟宗竹
現れる
雛壇の下で
父
春
特別列車
願いごと
煙 Ⅰ
煙 Ⅱ
ヤスクニに行く
夜 桜
野に返す
蛍
天空の風
あとがき
略 歴
詩篇を紹介
「つながる」
何も驚くことはない
全てつながっているのだ
貴方も私も
町も村も
ネコジャラシも薔薇も
冬も夏も
手をとりあい
つながっている
十年前も今日も
百年前も今日も
手をとりあい
つながっている
「ここ」
そこにいるのですか。
はい。ここにいるのです。
いつまでいるのですか。
わかりません。
ここってどこですか。
ここです。
「土の中で」
土の中で
詩集と白い骨とが眠っている
父が二十七歳で逝った
息子のためにしたこと
二十年経った今
ひんやりとした土の中で
闇をかかえ眠っていた詩集に
骨は光を放ちはじめているという