皆木信昭詩集
『心眼(こころのめ)』
他人の顔が/ぼやけて見えるからと/悲観することはない/顔の皺が無うなって/女房がだんだん若くなっていく/人の欠点が見えなくなって/みんな立派な人ばかり/自分までなんだか偉くなる//ものごとを見るのは/目でなく心で見る/どこかで聞いたのを思い出した
(詩「心眼」より)
栞解説:鈴木比佐雄 |
A5判/144頁/上製本 |
定価:2,160円(税込) |
発売:2010年9月20日
【目次】
Ⅰ 心眼
心 眼
仏 性
いち日
一切皆空
合
まるく生きる
道
不動明王
父
つかむ
雨
Ⅱ きさらぎ
きさらぎ
鳥になって
クロアゲハ
山野草
小豆を蒔く
秋
透明人間
昼の月
星
ろうばい
Ⅲ 残 生
残 生
坂
ぎゃあてい
夫 婦
老人性難聴
不 安
二律背反
長生き
寿 命
もしそう言われたら
終 焉
老 い
あとがき
略 歴
【詩篇紹介】
心眼
なんにちも日和がつづくので
明日あたり雨が降らないかと
夜空を仰いだら
赤い星がくっついて二つ
あれは火星のはずなのに
見る方向で二つに見えるのか
両目で見ても
片目で見ても
月が二つ
病院で診てもらったら
白内障
手術すれば治るのでしょうか
まだそこまで進んでいません
それなら当分このまま
ありがたいと思わなくちゃあ
みんなには 一つが
わたしには ふたつ
他人の顔が
ぼやけて見えるからと
悲観することはない
顔の皺が無うなって
女房がだんだん若くなっていく
人の欠点が見えなくなって
みんな立派な人ばかり
自分までなんだか偉くなる
ものごとを見るのは
目でなく心で見る
どこかで聞いたのを思い出した