人は光/人は影/人は光と影/
人は苦しみ/人は歓び/人は闇から生まれ/束の間 光に抱かれて闇へと還ってゆく/ 何を急ぐことがあろうか
(「日のゆらぎ 7」より)
解説文:三島久美子、崔龍源、石村柳三 |
四六判/232頁/上製本 |
定価:1,542円(税込) |
発売:2009年10月26日
【目次】
第一詩集『風と祈り』(一九八一年)より
秋 10
模 倣 10
部 屋 11
制 作 12
予 断 12
陶 冶(カントを読んで) 13
沈 黙(キルケゴールを読んで) 13
事 件 14
煤けた街 15
風と祈り 16
第二詩集『常夜燈のブランコ』(一九八七年)より
ゆきのせい 16
白鬚橋から 17
まぼろしの河 19
常夜燈のブランコ 21
枇杷と石油ショック 23
第三詩集『打水』(一九八九年)より
河 口 24
打 水 25
金馬の海 26
まつろわぬ、神々 28
第四詩集『火の記憶』(一九九〇年)より
笹巻き 29
鼻 歌 30
夢の果て 32
海 33
あまるめ 34
樹の人 ― 矢内原伊作さんへ 35
プルシャン・ブルーの海 36
火の記憶 38
第五詩集『呼び声』(一九九四年)より
あと80年 39
しずくいし 40
ヒマワリ 42
合 唱 43
呼び声 44
水 泡―隅田川公園にて 45
一瞬の秋 46
タンポポ便り 47
鬼ごっこ 48
神の手 48
誰 か 49
仇討ちの迷路 50
枕木の守り花 51
ビワのなる日 52
風に倒れる人 53
第六詩集『木いちご地図』(一九九七年)より
木いちご地図 54
黄道光 55
あえぐ花叢 56
日だまりの底 57
耳川のほとりで 本多利通・卯の花忌によせて 59
春雨橋から 60
寅さんの眼差し 62
活断層の百円ハウス 63
行方不明一名 64
相生橋から 未来の街・広島へ 66
桃源郷と核兵器 68
東海村の悲劇 70
海を流れる灯籠 72
第七詩集『日の跡』(二〇〇三年)全篇
美々津の入江 74
大樹がささやいた 75
地を這うニガイチゴ 76
十五歳の成人式 77
日の謎 79
里山が消滅した日 80
柏のベンチ 81
コンガンハセヨ 82
卓球王国 84
玉川病院にて―下山遺跡環濠集落 84
山鯨はなぜ豚にならないか 86
鬼のハンマー投げ 87
草 深 88
半眼微苦の人 90
三回忌には 91
虹のイカ―鳴海英吉さんへ 92
むらさきの記憶 93
翁の十五分―嵯峨信之さんへ 95
夕暮れのココア―永山則夫へ 97
夷隅川の落日 98
大瀬川のほとりで 99
詩の「潜水橋」を架けた人―金丸桝一さんへ 101
市川・弘法寺にて 102
相生橋にもたれて 103
一九九九年九月三十日午前十時三十五分 104
二十世紀のみどりご 106
カクノシリヌグイ 107
シュラウドからの手紙 112
恥辱のあまり崩れ落ちる「憲法九条」 113
さまよう足首 114
日のゆらぎ 115
日の跡 118
未収録詩篇Ⅰ 韓国詩篇
春の天空 122
漢江のほとりで 122
漢江の野草園で 123
釜山・詩六篇 李秀賢さんを愛する人たちへ
(二〇〇五年二月四日)
1 釜山学生教育文化会館の蛇笛 124
2 東川で詩人を探す 126
3 子城台の椿 127
4 釜山市立公園墓地の鵲 128
5 金井山梵魚寺の木蓮 129
6 狼煙台の星畑 130
黒ダイヤを燃やす原故郷の人 131
釜山・詩十篇(二〇〇五年九月六日―八日)
1 釜山ジェットストリーム 133
2 ハルモニの願い 134
3 五色の音の架け橋 136
4 控え室の殺し屋 137
5 釜山の夜空を仰いで 138
6 沈黙のメロディー 140
7 アリラン峠の少年 141
8 釜山の果物 142
9 民主公園のハルミッコッ 144
10 洛東江のアキノノゲシ 145
イシミカワの謎 146
ママコノシリヌグイの謎 147
未収録詩篇Ⅱ
葉・菜・見 149
金魚売り 150
網走橋のカモメ―永山則夫追想 151
祭りのあとからの祭り 153
熱中症の日 154
奥多摩の碧緑流―水香園にて 155
八千代市のタンポポ 156
キルケゴールの白花タンポポ―桃谷容子へ 157
西川緑道公園―岡山にて 158
音風景―金沢・本多の森にて うおずみ千尋さんへ 159
返り花のように 福田万里子さんへ 161
風の中の音楽会場 162
花巻・豊沢川を渡って 163
未収録詩篇Ⅲ
八月のフッサール 165
45億年の自爆テロ 166
核の奴隷 167
牡丹雪と「青い光」兼六園にて 169
祈りの花炎 福田万里子さんへ 171
広島詩篇 高炯烈氏へ
1 水の神殿―宮島にて 173
2 蝉の家―岩国にて 173
3 生ける場所―原爆ドームにて 174
浜田知章の眼光と勿忘草 175
ハナダイコンを添えて 179
駒形橋付近の炊き出し 180
春野の眼差し―浜田知章、小島禄琅、中岡淳一、千葉龍 182
被爆手水鉢の面影 183
詩 論 詩の換喩的な内在批評が可能か 186
解説・詩人論
「他者の人生を動かす力」 三島久美子 200
「鈴木比佐雄詩論集 『詩の降り注ぐ場所』に寄せて」 崔 龍源 207
「鈴木比佐雄の鋭敏な批評眼と野草花のごときやさしい詩性」 石村柳三 213
略 歴 230
【詩を紹介】
日のゆらぎ 7
人は光
人は影
人は光と影
人は苦しみ
人は歓び
人は闇から生まれ
束の間 光に抱かれて闇へと還ってゆく
何を急ぐことがあろうか
なぜ人工の光に取り巻かれたいのか
春の野草の元に
いつか人は帰るだけなのに