コールサックシリーズ

田上悦子詩集
『女性力』
むかし 海の向こうから 舟に乗って訪れる者は/ 何人といえども客人であったから/ 幸いをもたらす神々であったから/ 琉球列島の人々は ただひたすらに歓喜して/ 一心におもてなしをするのだった/ 何より人が好きな私にも その気風が残っている/(「女性力」より)
栞解説文:鈴木比佐雄
A5判/144頁/上製本
定価:2,160円(税込)

解説文はこちら

女性力カバー版下のコピー2

発売:2008年11月11日



【目次】


第Ⅰ章 残心一葉


残心一葉 10
花束 14
柳の下に佇つ人 18
菊と薔薇 22
背中の自意識 26
恋教え鳥 30
かんがえるひとよ 34
逃げる・追う 38
半跏坐の人 42
笑う人 46
記憶のはじまり 60
アルネ 62
歳月の音 64
今はときめきの街・吉祥寺 66
品物 70
柿紅葉 72
はな 74



第Ⅱ章 女性力


女性力 78
母恋鳥 82
死霊と遊ぶ 84
蘇った豆 88
アウランガバードの石の館 94
子殺しの世に 98
惜秋 102
掃く 106
遊園地へ 110
白い葡萄を 114
神仏の舞 118
眼 122
黒い猫 124
なまえ 126
階段 130
信頼と約束 134


あとがき 138
略歴 142



【詩を紹介】


女性力 


むかし 海の向こうから 舟に乗って訪れる者は
何人といえども客人であったから
幸いをもたらす神々であったから
琉球列島の人々は ただひたすらに歓喜して
一心におもてなしをするのだった
何より人が好きな私にも その気風が残っている

海の向こうには 神々のくにがあり
夜空に浮ぶ 神々の姿も見えていた
〈えけ あがる三日月や  (ああ 天なる三日月は)
 えけ 神ぎゃかなまゆみ (ああ 神の金真弓)
 えけ あがるあかぼしや (ああ 天なる明星は)
 えけ 神ぎゃかなままき〉(ああ 神の金鏃)
黄金期の那覇世は 女司祭によって統治されていた
奄美の神女も人々の信仰をあつめていた

だが 海の向こうから 力携えた破壊の神々が襲来
貧乏人の少女は身売り 幼児も労働力の 悲しい歴史
沖縄の 遊女歌人ヨシヤー・チルー
奄美の 女奴隷カンツメなどは 有名な悲恋実話
現代に至っても 少女が次々と米兵に犯されている

ノロガミサマよ ユタガミサマよ 琉球の地にも
かつて あなたの 〝霊力〟による太平の世があった
海人の眼には大空に 壮大華麗な女神の群像が
テレビの画像より鮮明に映っていた
〈えけ あがるぼれぼしや  (ああ 天なる群星は)
 えけ 神ぎゃさしくせ   (ああ 神の花櫛)
 えけ あがるのちくもや  (ああ 天なる横雲は)
 えけ 神ぎゃまなききゅび〉(ああ 神の御帯)

琉球人に〝日本人の原像〟あり という
その血を亨けて現代に生きる私たち女性
呼び起こさねばならないものが あるのではないか
現代の〝霊力〟 民衆の失った信念だろうか
私という小さな一個の人間の 身裡から○るもの
そのことを携えて私は 世界に繋がっていたいのだ
*〈 〉内はおもろそうし(五三四)
*ナオミ・クラインの言(〝世界〟2007・12)など。

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