栞解説文:鈴木比佐雄 |
A5判/160頁/上製本 |
定価:2,160円(税込) |
発売:2008年8月15日
【目次】
◆青春を捧げた戦争(その1) <少年時代から戦争に突入した激動を思う>
一、生命軽視の世界大戦時代に育って/二、玉砕・総力戦に向かう学徒兵たち
◆青春を捧げた戦争(その2) <レイテ戦における兄の戦死を偲ぶ>
一、兄をはじめ多くの戦死者を出した南方の島々/二、白骨街道を作り出す無謀な作戦
三、情報戦・兵力開発力に差をつけられて/四、神風特別攻撃隊を命令した大西中将
五、世界恒久平和を願って
◆青春を捧げた戦争(その三) <徴兵により関東軍の一員となり復員までのこと>
一、満州第五二六部隊 に入隊して/二、終戦の詔勅を聞いて
◆思い出の写真
◆後記
◆ 参考資料
【序文を紹介】
本書は青春を戦争に捧げて幸運にも生還した石田邦夫氏が、明治から昭和にかけて日本が軍国主義へと傾倒して行った歴史的現実としての内政外交の善悪を検証しつつ今次大戦に命を捧げた英霊に対する鎮魂と哀惜の情をこめ、心血を注いで認めた戦争の記録である。
内容は、(その一)から(その三)にわたる三部作として構成されている。
(その一)は、日本が満州事変・支那事変を経て、無謀な太平洋戦争へと突入して行き、遂に敗戦に至った経過を多くの資料に基づいて的確に記述し、最後をレイテ戦で戦士された兄上裕氏への碑文で結んでいる。
(その二)は、太平洋戦争における我が陸海軍の戦闘の一つ一つを詳細な文献的調査によって記述し、これらの戦いに死闘し、特攻隊として敵艦船に突入し、あるいは戦野に玉砕した軍人や民間人の悲劇を描いて、戦争が人類にとっていかに無益な禍根を残すものであるかを訴えている。特にレイテ戦で奇跡的に生還した同郷の先輩から聞き得た、兄上の偶然な船上での邂逅、レイテ島での兄上の悲痛な戦死までの様子を推測して血涙を絞った兄弟愛の描写や、特攻隊員の遺書等には身が引き締まり、思わず感涙を覚えるものがある。
(その三)は、自らの満州への出兵と、引き揚げの苦難を書き留めたもので、今更ながら日本の戦争指導者達の無知と無謀に憤りを覚えると共にその犠牲となられた人達に哀悼の意を禁じ得ない。
著者は私とは短歌の道での友人であり、同年齢である上、二人共実兄が戦死しているという奇縁から、乞われるままに序文を書いた次第である。(江畑耕作)