武西良和詩集
『岬』
沖ゆく船が太平洋を/味わっている/船のあとについていく白い/波の味//遙か向こうでは/雨が降っているのか//水平線は何も語らないまま/海と/空との間に/隠れてしまった(詩「本州最南端」より)
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栞解説:鈴木比佐雄 |
A5判/96頁/ソフトカバー ISBN978-4-86435-102-7 C1092 ¥2000E |
定価:2,160円(税込) |
発売:2013年3月21日
【目次】
第一章 「子どもの海」
海の子
金の網
小さな帆船
魚と少年
海の子ども
第二章 「海沿いに」
入江の乳母車
釜揚げしらす
銀色の鱗
た こ
印南町の手まり展
第三章 「港町」
太地町
錨
浜風にクモの巣
海の回収
猫の爪
海辺の病室
第四章 「岬」
火の海
潮岬灯台
本州最南端
見えない海
切られる海
船を追う鷲
第五章 「そして沖へ」
海の爪
沖ゆく船
荒海の船
雨の船上
行方不明
あとがき
略歴
詩篇
「潮岬灯台」
――六十四段
登り切ると外は明るく
雄大な海の景色
震えが踝をつかみ
ガタガタ揺さぶる
眼下に広がる黒い岩が
足もとに警告する
――油断するな
太平洋の荒波も叫んでいる
――ここからみれば
お前など貝殻の破片ほどでもない
あわててなかに入り
階段の手すりを強く握った
ひんやりが指を縛った