コールサックシリーズ

白河左江子詩集
『地球に』

地球に生まれて 地球で死ぬ 人間の命をつないで線にして 太く長くと暖めて 子孫を絶やさないために (帯文:詩「地球に」より)



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栞解説:鈴木比佐雄
A5判/160頁/上製本 ISBN978-4-86435-087-7 C1092 ¥2000E
定価:2,160円(税込)

白河左江子詩集『地球に』

発売:2013年1月29日



【目次】

一章 「地球に」

無色透明 
透かして見ると
作務衣ではなくもんぺを ―岡山空襲出石資料館にて 
腕時計 ―岡山空襲を語り続けて―
今 ふつふつと心にたぎるもの 
流れる 
流れ星に 
地球に
コーティング 
東日本大震災(平成二十三年五月初めに)

二章 「御十夜」

あのとき 
若 菜 
土の上に 
四つ葉のクローバー 
ドクダミ屋敷 
誕生日 
黄にらずし 
日食Ⅰ(二〇〇九・七・二二)
日食Ⅱ 
皆既月食(二〇一二・五・二一)
御十夜 

三章 「闇のかなた」

さくら 
驚愕のあじさい 
闇のかなた 
波波…… 
海のこちらは 
風があるのか 
雪 煙 (旭山動物園紀行) 
ジェフリー 
ふん・ふん・猫ふん 

四章 「蚊帳」

ベッドで 
蚊 帳 
鈴が鳴る 
母と娘と 
視 野 
曇っている 
見えないものを
細切れの 
握力 二 
とどかない 
ことば は 

 初出一覧 
 あとがき 
 略 歴 


詩篇

「地球に」

地球に生まれて
地球で死ぬ

人間の命をつないで線にして
太く長くと暖めて
子孫を絶やさないために
燃やしていた石炭 より
石油の方が効率がいい と
地層深くから吸い上げる
何千年何万年と
抱きつづけてきた地球の命
千メートル掘れば
吹き出す温泉
いつか地球はトンネルだらけになって
もつれもつれて
お互いがお互いを縛り
破裂しないか
いびつになった地球から
海水が滝のように流れ出ないか
科学がドンドン進んで
人間が増えて
パンパンになった地球から
似た星を捜して
宇宙に次々と飛び立つ
やがて交通事故が起きるだろう
宇宙船はチリヂリになって
宇宙をただようだろう
廃品回収の日は決めたのか
空中交通法は制定しないのか

学期に一度の廃品回収に
公園へ新聞や古布・あき缶を持って行く
子供たちが手伝っている
この子たちをどうやって守ったらいいのか
地球で安らかに死ぬために

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