「ただただ、湖を眺めて暮らすことは可能だろうか」と真田かずこさんは問いかける。15歳の修学旅行で琵琶湖の風景に魅せられて、とうとう滋賀県の知事までさせてもらうことになった私にとっても、本質的な問いかけだ。その問いかけを日々、体験・体感できる真田さんの暮らしをうらやましくも思う。琵琶湖とともに暮らす珠玉の言霊詩集。多くの人に目にふれてほしいと願います。帯文:滋賀県知事 嘉田由紀子
栞解説:鈴木比佐雄 |
A5判/160頁/上製本 |
定価:2,160円(税込) |
発売:2012年4月20日
【目次】
序詩 水 鏡
Ⅰ章 奥琵琶湖
心 地
波の声
風の声
湖と海
奥琵琶湖
新天地
満ちる
松並木
波の関係
三 昧
マキノの虹
日 課
バラ色の月
夕立1
夕立2
Ⅱ章 朗らかな春
朗らかな春
梅 雨
初 夏
夏
中秋の夜に
晩 秋
冬 は
Ⅲ章 美しきもの
美しきもの
気 品
手荒な床屋
農 夫
農 婦
えんがい
ぎっとまって ききやんせ ~湖ン中~
Ⅳ章 湖畔のくらし
湖畔のくらし 1 伊吹山から昇る日
湖畔のくらし 2 湖西の松林
湖畔のくらし 3 空は偉大な芸術家
湖畔のくらし 4 高島しぐれ
湖畔のくらし 5 除雪車の音
湖畔のくらし 6 村普請
湖畔のくらし 7 ヨシ笛の合奏
湖畔のくらし 8 深くなる湖底の謎
湖畔のくらし 9 中世の集落「菅浦」
湖畔のくらし 10 蓮如さんのお通り~
湖畔のくらし 11 竹生島の昔話
湖畔のくらし 12 湖畔の移動販売車
湖畔のくらし 13 小鮎の木の芽煮
湖畔のくらし 14 彼岸花の海
湖畔のくらし 15 水鳥の自己犠牲
湖畔のくらし 16 マキノの清らかな田
湖畔のくらし 17 雪除けしてほっこり
湖畔のくらし 18 朝八時営業開始
湖畔のくらし 19 ファーストネーム
湖畔のくらし 20 湖畔の祭り
湖畔のくらし 21 鳥の鳴き声を聞き分ける
湖畔のくらし 22 中庄の地蔵盆
湖畔のくらし 23 詩のはじまる国
あとがきに代えて ―夢は叶う
略歴
【詩篇】
奥琵琶湖
ただただ 湖を眺めて暮らすことは可能だろうか
夜明けまえ 漁舟が静かに視界を横切ってゆくのを
お日様の黄金の道が 湖面を走ってやってくるのを
水辺の柳はみどりに霞み 桜の花びらが波形にただようのを
ただただ 湖を眺めて暮らすことは可能だろうか
きらきら輝く水面に 小魚たちが跳ねるのを
葦 青々とそよぎ 人の背をはるかに超えてゆくのを
夕焼けが湖に色を差し バラ色の月が昇るのを
ただただ 湖を眺めて暮らすことは可能だろうか
満月が照らす湖上に 光の舞台あらわれ わたしを差し招くのを
湖山空 青のグラデーションにユリカモメ乱舞するのを
紙を貼ったように島影も見えず こころの様だけが映るのを
ただただ 湖を眺めて暮らすことは可能だろうか
風が吠え はるか沖まで白波がたち 松並木が踊り狂う姿を
鉛色の湖面に 雪のドットが降りしきるのを
雪に映る松影に 小鳥が足あとをつけてゆくのを