3回の在外研究を通して、マザー・グース等の伝承文学に強い関心を抱くようになり、マザー・グース関係の論文を執筆し、それらの一部が今回紀要論文から一本の形にまとめられるようになった。伝承文学への関心は、私が留学と英文学研究の継続の中で摑んだ、一筋の流れのようなものである。その流れに浮かぶ漂流物のような幾つかの論点や知識を本書の読者と共有できれば幸いである。
(「あとがき」より)
A5判/304頁/ソフトカバー |
定価:2,160円(税込) |
発売:2012年2月22日
【目次】
まえがき
第1章 伝承童謡覚え書き
―マザー・グースを中心に―
Ⅰ マザー・グースの概観
Ⅱ マザー・グースの特徴
Ⅲ マザー・グースの言葉
Ⅳ 音楽性とイメージ
1.音楽性
2.イメージ
Ⅴ 無名性と源泉
Ⅵ 郷愁と教育的機能
1.郷愁
2.教育的機能
Ⅶ わらべ唄との比較
Ⅷ 翻訳と受容
第2章 マザー・グースの謎を解く
―《誰が殺した、コック・ロビンを?》をめぐって―
Ⅰ 序として
Ⅱ コック・ロビンは誰だったのか?
Ⅲ 動物のシンボリズム
Ⅳ 擬人化という手法
Ⅴ 繰り返し・対話・動物裁判
Ⅵ オスのテーマ/ペアのテーマ
Ⅶ 結びとして
第3章 マザー・グースにおける昆虫
―謎を解く鍵として―
Ⅰ はじめに
Ⅱ マザー・グースの諸相
1.自然詩として
2.自然教育詩として
3.体験的記憶として
4.ケルト的要素
Ⅲ 謎を解く鍵として
1.テントウムシ
2.ミツバチ
3.マルハナバチ
4.クモ
5.その他の昆虫
Ⅳ 昆虫の文化誌
1.鳴く虫への特化
2.ハーンと昆虫
第4章 マザー・グースにおける鳥
Ⅰ 序として
Ⅱ 野生の鳥
1.ロビン
2.カササギ
3.カッコウ
4.ヒバリ
5.クロウタドリ
6.スズメ
7.カラス
8.ハシボソガラス
9.フクロウ
Ⅲ 家禽
1.ニワトリ
2.カモ
3.ガチョウ
Ⅳ 各種のライムと鳥
1.アルファベット唄における鳥
2.擬声語の唄における鳥
3.積み上げ唄における鳥
V 結びに代えて
第5章 マザー・グースにおける動物(Ⅰ)
―イヌとネコ―
Ⅰ はじめに
Ⅱ イヌ
1.《Hark, hark, the dogs do bark,》
2.《Old Mother Hubbard》
Ⅲ ネコ
1.《Pussy cat, pussy cat, where have you been?》
2.《Ding, dong, bell,》
3.《Six little mice sat down to spin;》
4.《There once were two cats of Kilkenny,》
5.《As I was going to St. Ives,》
Ⅳ 結び ―ペットについて―
第6章 マザー・グースにおける動物(Ⅱ)
―ウマとヒツジ―
Ⅰ ウマ
1. 《For want of a nail》
2. 《I had a little pony,》
Ⅱ ヒツジ
1. 《Baa, baa, black sheep,》
2. 《Little Bo-peep has lost her sheep,》
Ⅲ 結びに代えて―家畜とは何か?―
あとがき
初出一覧
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