＜経歴＞

１９６８年横浜生まれ。
横浜、東京、京都、大阪を経て、現在東京在住。
詩集『共感』、『対話』、『愛、ゴマフアザラ詩』（小熊秀雄賞）、『永遠の渡来人』、『心臓の星』、『港』、『時代の波止場』。詩論集『21世紀の詩想の港』。
詩誌「ＣＯＡＬ　ＳＡＣＫ」共同編集人。個人詩誌『進化論』編集発行。
詩人会議、日本現代詩人会、日本詩人クラブ、日本国際詩人協会、関西詩人協会、旭川文学資料友の会、池袋モンパルナスの会、小熊秀雄協会、鳴海英吉研究会、「いのちの籠」、「軸」、各会員。

九条の会詩人の輪事務局長。

＜詩作品＞

コウモリ

ぶきみやなあ

すまし顔で

こわいなあ

さかさまに見よって

暗躍かあ

おどかさんといてや

　　と

言いたいのは

こちらのほうだ

　　ヒトよ。

  　おのれを見ずに

　　わしら平和主義者をバカにして

　　わがもの顔で殺しまくり

　　けものの恩も忘れ去り

　　しょうもない〈比喩〉なすりつけて

　　ビョーキやで。

　　　　パラダイス。純空間。
　　　　多感な命がキャッチする、音波のバ
　　　　ラエティ。わびさび超えた、黒のユ
　　　　ーモア。エコロジカルな生き方が、
　　　　飛ぶ。その顔を見よ。
　　　　偏見を圧倒する、この童顔。

　　ハッとして

　何かが見えた時

ヒトは “進化 ”するだろう

サスペンス

生態は謎に包まれていた
これだけのモノをつくり動かしていたのは
どんな生物か

モノには摩訶不思議な “文字 ” が刻まれていた
〈機密〉とか
〈汚染〉とか
〈猛毒注意〉とか
〈爆発物危険〉とか
〈テロとの戦争〉とか
〈九条改憲〉とか
さまざまなタイプの文字で
時に暗号のようなものもついていた

いったいこれらの文字は何を意味するのであろう

規模から判断して
これは哺乳類に違いない
かつてこの星に伝説を刻んだ
無数の哺乳類
その中でも
ひときわ進化した種であろう

ああ　想像してみたまえ
言葉を用いて話しあうものたち
さぞかし平和に生きていたことだろう
野蛮な殺しあいなど無縁の種であっただろう
火を用いて開発するものたち
さぞかし貧困や飢えを克服したことだろう
火にあたって世界食糧計画など仲良く決めたことだろう
道具を用いていろいろつくるものたち
さぞかし彼らは哺乳類全体に尊敬されたことだろう
弱くなった他動物を積極的に助けていたことだろう

今となってはこの廃墟
何があったのだろうか

いずれにしても
プラスがマイナスに転化していったのは
確かに大事件であったと言えよう

ゴマフアザラシさん、こんにちは

あたたかくなってきましたね
また北へ旅に出るのですね
ヒトが国家と国家で閉ざしてきた海を
あっけなく　悠々と　渡ってゆくのですね

そんなに深い目で見つめないで下さい
どちらが人間かわからなくなってしまいます

海は楽しいですか？
あなたのように裸で海に暮らすことはできないけれど
私たちにはいろいろな道具があります
海を渡り　空を飛び　電波を流し
世界中友だちでいっぱい
・・・のはずなんです
２本足で歩き　手を使い　頭を使い
生態系全体とヒトの歴史の流れを見渡して
この星の現在と未来のために尽力する
・・・はずなんです

この島国も
ふるさとアフリカから　“ 大地 ”から
“ 海 ”から　そして“ 人間 ”から
あまりに遠く離れてしまった

ああ
そんな励ますような目をしないで下さい

要するに　“ 生きる ”ってことなんですよね
わかってるんです
わかっちゃいるけど・・・ってやつですよ

あなたの寿命は３０前後　今　私は３２
ヒトの寿命が長いのは
“ 生きる ”までに時間がかかるから？

あなたを見ると　まじめな気持ちになります
あなたを見ると　優しい気持ちになります

ゴマフアザラシさん
どうか　お元気で