松尾 静子(まつお しずこ)
<経歴>
1948年、長崎県諫早市に生まれる。
長崎県立島原高等学校卒。
現代美術家協会元会員
長崎県美術協会元会員
詩誌「河」(故上村肇氏主宰)元会員
詩誌「千年樹」所属
2013年、第一詩集『夏空』(コールサック社)
<詩作品>
少 年
少年は素裸になると
するりと水に入り灰色の魚になった
すっかり魚になった少年は
尖った顎を動かし
透き通った尾を一振りすると
滑らかな水の中を
ふわり 泳いで行ってしまった
三 月
迷走する車の中で
何処にも行き着かない行き止まりの道を
わたしは選んでいた
島原
春うらら
思いは朦朧と刹那を巡り 巡る
霞む有明海の向こうに
沓く つめたい よこがおで
うかんでいたのだ
刻々の時に別れを告げ
継ぎ合わせることの
はてしない時を
徒労としかなしえないわたしだろうか
絵をかこう
静かな しずかな 絵をかこう
みつめる 時のむこうへ
あなたは けっして行かない人だから