井上優詩集
『厚い手のひら』
のっぽで寂しがり屋で泣き虫の天使が、
地上へ降りて詩人になりました。
アスファルト・ジャングルで捨てられ散らばった言葉を拾い集め、
祈りの息を吹きかけて、みんなに届けます。
帯文:千葉経済大学短期大学部・講師 松島義一
解説文:佐相憲一 |
A5判/160頁/ソフトカバー |
定価:1,542円(税込) |
発売:2011年10月25日
【目次】
目次
序 詩
第Ⅰ章 厚い手のひら
菜の花を植える人
時代の魚
咲いている
子どもの黄色いクツ
レクイエム ―死してなお生きるあなたへ―
100ミリシーベルトの悪魔
卵
僕の知らない曲
愛の銭湯
手のひら
トランジスタ・ラジオ
蜜
ルイ・アームストロングに捧げる
とぶ ねこ
明日が始まるとき
第Ⅱ章 誕 生
誕生・史遠へ
クリスマスの季節に
永遠・はる
光の素顔
会陰の詩
まゆみへ
乳
ホワイトクリスマス・イヴに
地球の匂い
幾つかの抱擁
シオンと天使 1
シオンと天使 2
シオンと天使 3
生命
第Ⅲ章 世 界
千夜一夜物語
和蘭任侠
静 物
食虫花文明
ロシア 1991
花降る夜に
ノスタルジィア
Life・夏へのファンタジィー
永遠のアン・シャーリィーに捧げる
ロンドン・デイズ 1
ロンドン・デイズ 2
数時間と数週間の叙事詩・豚カツの灯 ―M・G先生に捧げる―
ネット詩人へのソネット
詩
道 程
第Ⅳ章 物語り詩
深い森の眠りのバク
涙をあつめる天使
解説
かなしみを手のひらの体温で包む光の詩集 佐相憲一
あとがき
略歴
詩篇
「咲いている」
花が咲いている
ランドセルを背負って
手をつないで
手をつないで 笑いあって
放射能の雨の中 黄色い傘をさして
こんなに腐敗した 精神の土壌に
闇が体内にまで 忍び込む世界に
子供たちが咲いている
サンタクロースを信じるように
子供たちは両手を広げて
空を仰ぎ 抱きしめている
大人が忘れてしまった
見えないものを
見えない よいものを
子供たちは知っている
子供たちが咲いている