詩選集シリーズ
花が/うつくしいのは/からだじゅうの/愛を/お日さまにむけ/ひらいているから//おしべよ/めしべよ/だれにむけて/なににむけて/こんなにも/美しく/愛をひらくことが/できるだろう//ひとは
(「花がうつくしいのは」)より
解説文:佐相憲一、石川逸子、鈴木比佐雄 |
四六判/256頁/上製本 |
定価:1,542円(税込) |
発売:2010年2月24日
【目次】
第一詩集『女人埋没』
(一九五五年、中桐美和子氏との二人詩集『蒼の楕円』)より
砂上の幻影 8
梅雨について 9
しみだらけの冬 11
因 習 12
夜にぬれる 13
女人埋没 14
第二詩集『圧』(一九六一年)より
樹液のなかの眠りのために 15
浮 力 16
光のない窓の光を夢みる 17
指話法 18
においの町 20
とどかないものの一つ一つに 22
第三詩集『けだもの考証録』(一九八〇年)より
椅子と腰掛けについての考察 22
ナブル 24
わたしは女 27
ポケット 28
肉の芽 30
けだもの考証録 32
胃袋同盟 35
第四詩集『指 話』(一九八一年)より
指 話 39
オフィス 39
天邪鬼・呪い唄 39
記念写真 41
アカイ背をもつ被爆の記録 五篇
― 広島・長崎・原子爆弾の記録から ―
まっすぐな目 42
即 死 43
ゆびがもえる 44
にげる 45
ミテイル 46
ルポルタージュ・岩国 ―2・22岩国集会に参加して― 47
第五詩集『貘の餌箱』(一九八三年)より
花がうつくしいのは 50
〈 永遠 〉に舐められた日の回想録 50
形 代 51
貘の餌箱 53
鉱山の木曽川・天竜川 54
カヤノサンのユカタ 55
ダイ・イン 57
食生活に生かされる日本のこんにゃくの八つめの効用 57
第六詩集『ミッドウェーのラブホテル』(一九八六年) より
ミッドウェーのラブホテル 60
到来する高齢化社会の戸籍簿について 61
虫干し 63
遺品の親指 64
まっさかさまのにおい 65
切り口 67
カンガルーの話 68
第七詩集『木にかえす』(一九八七年)より
木にかえす 70
キスをする太陽 70
捨てた人 71
憲法第十八条について ―川崎重工の荷物たち― 72
片目の鎧戸 74
ムラサキツユクサのこと 76
第八詩集『オリの春』(一九八八年)より
所持品検査 79
筆 談 80
襷 81
日照計 84
白い吊革 86
読 唇 87
オリの春 89
第九詩集『写撃者』(一九九一年)より
人 体 90
識別表示〝I〟
『飢えを喰らう』「死に行く子供たち」写真集より 91
小さな鏃 93
おとうすの日 94
禁忌の構造 Ⅰ 97
においのことば 100
第十詩集『罪の翻訳』(一九九九年)より
罪の翻訳 五篇
Ⅰ 落花狼籍 103
Ⅱ 翻訳作業 104
Ⅲ Gook 106
Ⅳ release 108
Ⅴ 十字架のビン 111
ペリリュー島のタコノキ 115
爆 心 117
閃光の味 119
パンパンは日本語だった 122
火炎樹の下で ―キム・フックさんが語ったこと― 124
ホロコースト記念館で ―アウシュビッツの囚人服― 125
餓 死 127
サヤンドラ ―核廃棄物海洋投棄に反対する
フィジーの運動に連帯の意味をこめ― 129
冬の秤 ―森近運平生家を訪ねて― 130
第十一詩集『壁の日録』(二〇〇四年)より
足が落ちてくる 132
紅 葉 133
抉られた大地のサキネのお家 134
薊 137
狐の剃刀 137
チューリップ 137
抱くもの 138
アフガニスタン断章 140
シタラ 141
水 144
聖地植物について
―あるいはパレスチナの抱く記憶について― 144
わたしの世界史ノート 147
チベットの風景 ―いのちは平等だから― 151
壁の日録 151
第十二詩集『訴える手』(二〇〇四年)より
黄鍾の律管 154
シエラレオネの破壊兵器 155
鈴木さんの椅子 158
訴える手 159
クリスタル・ナハト 160
玉 島 163
鬼の棲処 164
第十三詩集『静かな朝』(二〇〇七年)より
は す 165
他人の鼓膜 165
踏み台 166
ギターの鼾 167
遺 影 168
静かな朝 170
百日紅 173
第十四詩集『ブッシュさんのコップ』(二〇〇八年) より
ブッシュさんのコップ 173
地面を向く銃 175
「トロイの木馬」―もしくは帰化植物の風景について― 177
Annoさんのワタクシと北朝鮮の私と 178
第十五詩集『国家の成分』(二〇〇八年)より
炭を焼く 179
「ムゴンカン」の絵の具箱 181
国家の成分 184
猪の風呂 189
瀬戸大橋 190
梶草樋之尻「嫁いらず観音」 191
戦場のあいさつ 193
歴史のフシギ 194
〈ほとばかいとる〉共通語 195
〈遠くを視る〉もの 196
『無言館』の木と花と 198
未収録詩篇 十篇
ジヘイタイ 200
要 201
流人の草履 203
被爆太鼓 204
フリュートを吹く少年 206
ウミボタル 208
暗 号 210
「ホイトモタレ」 213
柿の木のある風景 213
サラム〈人〉 214
解説・詩人論
「ほとばしる批判精神とたくましい生命力」 佐相憲一 218
「くにさだきみの詩世界」 石川逸子 224
「人間を不幸にする世界の構造を透視する人」
鈴木比佐雄 230
略 歴 248
【詩を紹介】
花がうつくしいのは
花が
うつくしいのは
からだじゅうの
愛を
お日さまにむけ
ひらいているから
おしべよ
めしべよ
だれにむけて
なににむけて
こんなにも
美しく
愛をひらくことが
できるだろう
ひとは