全詩集
生きることの、何という不思議な豊かさであろう。
苦しみと悲しみの最果てからの、何という逆転劇であろう。
北の詩人の真情が人生まるごと胸をうつ。
日高、網走、標茶、旭川、伊達、・・・そして青森野辺地、弘前。
川村慶子さんの詩世界は、ひたむきに人間そのものをとらえている。
(佐相憲一・解説文より)
★目次と本文の一部、解説を立ち読みできます。
ダウンロード不要の電子ブックが開きます。
【その他にも立ち読み可能な書籍がございます】
コールサック社の電子ブック立ち読みサイトはこちら
解説:佐相憲一、鈴木比佐雄 |
A5判/560頁/上製本 ISBN978-4-86435-114-0 C1092 ¥5000E |
定価:5,400円(税込) |
発売:2013年7月29日
【目次】
■第一詩集 半生 (一九六〇年)
序詩 半 生
Ⅰ
半 生 ㈠
蒙古発祥
シナントロプス・ぺキネンシス
亡兄の日記
純粋の日
ランプ
雪ひひ
古き地変
十三丁目角にて
終電車
日 常
この頃
距 離
かなしみ
幻 覚
怪 鳥
贖 罪
慈 夜
地 上
友 情
酷 暑
母の星
秋の祈り
或る郷土交響曲
秋の夜
Ⅱ
半 生 ㈡
見舞い
無 題
白 衣
カルテ
治療室
知と愛
聖 職
女
巡 礼
故 郷
恋の橋
春の孤独
カルピス
誕生日
麦 畑
蛙
悔 恨
窓 口
秘 薬
帰 省
猫 ㈠
猫 ㈡
猫 ㈢
手 紙
夏 雲
―に
手
上 京
東京三題
幼女のうた
沼 気
反 骨
敗 残
ビゾン―アルタミーラ洞窟―
五匹のシカ
河を渡るシカ―ラスコー洞窟―
あとがき(初版)
あとがき(再版にあたって)
■第二詩集 悲歌 (一九六五年)
◇第一部
或る日
郭 公
朝
春の庭
藤
ぶどう
すもも
少女期 A
少女期 B
少女期 C
◇第二部
悲 歌―轢死―
焚きつけ
決 闘
なすな恋
火の鳥
高 砂 ―縷言―
望 郷
◇第三部
旧 友
さくら
紅灯の巷
柑きつ
文 通
片栗の花
日 蝕
星
記 憶
ダイヤ
あとがき
■第三詩集 珊瑚草 (一九七三年)
序 安部宙之介
◇第一部 珊瑚草
鳥
ガラパゴス
辛 夷
比翼塚
高砂台
金の釣り針
コタンの秋
蟹
萩
私が十三歳だった時
長 安
あなたへ
冬が来た
もう間に合わない
葬 り
投身・海
かいもの
こうのとり
Krishna 恋慕
はづき
燔 祭
珊瑚草
山 杉
監 獄
亡 霊
駆け足で冬がやって来た
◇第二部 蒼いあなた
信仰告白
生きるとは何か
言 葉
死から
現実肯定
蒼いあなた
跋 文 佐藤喜一
あとがき
■第四詩集 京都彷徨 (一九七八年)
◇詩集 拈華微笑
常照寺
源光庵
光悦寺
詩仙堂
竜安寺 ―大珠院―
妙心寺 ―食事五観文―
嵐 山
西本願寺
二条城
京都御所
今宮神社
大徳寺 ―孤蓬庵 その一―
大徳寺 ―孤蓬庵 その二―
霊山観音
高台寺
青蓮院
平安神宮
南禅寺 ㈠
南禅寺 ㈡
白沙村荘
銀 閣
◇歌集 曼荼羅
雨の京都 六首
悪夢 その一 四首
青蓮院 四首
雪夜 四首
悪夢 その二 四首
シータ 二首
紙幣 一首
空港 四首
京都 十二首
■第五詩集 十二支版画集 (一九八二年)
一 月
二 月
三 月
四 月
五 月
六 月
七 月
八 月
九 月
十 月
十一月
十二月
■第六詩集 別れのベル (一九九一年)
半 生(本全詩集では第一詩集に収録)
半 生(本全詩集では第一詩集に収録)
半 生(本全詩集では第一詩集に収録)
鴉
飲酒考
秋妻考
畳替え
流 氷
爽 籟
鉄 橋
珊瑚草
標 茶
別れのベル
霙
袖 丈
葡 萄 ―サトウ民芸操夫人に―
霧 雨
火 炎
夜勤があった頃
物言わぬ足へ
肩を犒う
月 山
春 昼
―「原郷のこけし群」上・下二巻の著者に―
日高山脈―〈慶能舞〉―
熱帯夜
プソイド・ドラコニア綺譚
根室の作家
星 夜
べんけいそう
■第七詩集 土偶の頰 (一九九五年)
馬
雪
桜
屋号 Ⅰ
屋号 Ⅱ
屋号 Ⅲ
屋号 Ⅳ
夢みち
家
隣席の人 ―いとこまいこつ―
戒 名
片便り
黄水仙
たらば蟹参上
蟹まんだら
大おばの歌 ―慶大に―
お前のパパは―幸司に―
餅の思い出
夏の思い出
マリモ
ハムの歳暮
台風報告
詩碑訪問
土偶の頰
あとがき
■第八詩集 木になった弟 (一九九八年)
ベニバナトチノキ
ラクウショウ
オウゴンギンドロ
メタセコイア
カンボク
ホオノキ
フランクリンノキ
ノリウツギ
モミジバスズカケノキ
トチノキ
ハ ス
あとがきに代えて―逝きし弟二十首―
■第九詩集 馬 (二〇〇二年)
馬―列のなかに死体を
くくりつけられた馬がまじっていた―
落武者
異 界
十勝岳の鶯
丸 背
上野駅の秋
送 本
綱引き
ラッコ
紗の紋付
学級写真
涅槃像
三筋壺
聴 覚
四大苦
荒巻鮭
かものはし
さくらちゃん
金物の金魚
シダレカツラ
南の海
北の海
花鳥渓谷のバラ
ステーキ屋シド亭
『馬』に寄せて 西岡光秋
■第十詩集 箱馬車 (二〇〇二年)
序詩 箱馬車
Ⅰ
玫 瑰
日録一―漢王朝展見学―
日録二 ―銀閣寺参詣―
アロマセラピー
特別室と四人部屋
戯れせんとや
赤とんぼが銜えて来てくれた一葉
「さくら」ちゃん
Ⅱ
縄とび
詩 集
時 計
緑が美しい日
「不思議な国」出現
魑 魅―港野喜代子と山内宥巌―
Ⅲ
新緑の候
百年ごとの将門祭
石けり
温泉旅館
諸葛菜
木 菟
今日も海で
四代の世を生きし長姉まんじゅしゃげ
Ⅳ
鳥 葬
句碑考
キャシーの夢
旅 愁―東室蘭にて―
或る詩人祭の夜
あとがき
■第十一詩集 遠き海明け (二〇一二年)
Ⅰ
遠き海明け
Ⅱ
回想 麻里子
Ⅲ
詩人の母への便り
Ⅳ
逝きし叔母刀自
Ⅴ
能登の別れ
Ⅵ
精霊船
昆虫記抄 ―初稿発見―
野鳥を友とする女
姉の逝った日
―謝り通しで年老いた妹我よ―
祝歌エッサカホイ
ロマンス―巨大地震の上を跳んだ男―
ああ野蒜界隈
あとがき
■詩集未収録詩篇
◇小冊子『詩集 比翼塚』から
異 郷
雁
さ が
慶能舞
羽
女
月 光
ヴェトナム
幼 年
暖 冬
鳥 取
誰アれもいない
いやな
気付く
転勤について
膿んだ心臓
或る日
比翼塚
逃げはしない ―タスマニア・デビルに―
◇詩選集『新・日本現代詩文庫 川村慶子詩集』から
牢居の死
風蕭々
北の風評
歴史の小径
満員の聴衆がどよめく
寵 臣
窮 乏
重荷放擲
土葬の前後
はくもくれんのように
◇詩誌「日本未来派」から
花の家
光るされこうべ
贈り名
よもつひらさか
冬 日
老女の風邪
◇詩誌「something」から
先立った ひとへ
荒天渡河の夜
ドン・キホーテ
たとえば骨粗鬆症
大 鴉
菊拉ぐ
夜 桜
赤い速達が届いた。
降 灰
◇詩誌「コールサック」から
小熊秀雄よ 旭川の雪が恋しくないか
◇詩誌「詩と思想」から
眠る前の老女のうた ―詩人と樺太―
◇詩誌「ガニメデ」から
又、来いよう ―お遍路日記―
◇詩誌「新・現代詩」から
町の萬年筆屋
◇詩誌「朔」から
作家に
◇『生活語詩二七六人集』から
逝きし人へ
◇『鎮魂詩四〇四人集』から
お寒いです
◇『詩と思想 詩人集』から
小熊の小父さん
金の沓
連 翹
些細な思い出
百歳になった
鮫あいつは刃だ(光晴)
雪中の花寄せ
◇『新・現代詩詩人集 2004』から
下仁田葱
◇日本詩人クラブ『日本現代詩選』から
桜 雨
干 す
床屋さんと雪
後期高齢者医療被保険者証
佛壇のお水が凍った
野ぶどう
◇『青森県詩集』から
鯖大師
窄んでゆくばかりの幻花忌
シャンソンを聴きに
のん気な寡婦の歌―十符の菅菰
在天の師―A先生に―
■句集 冬のオホーツク (二〇一二年)
第一章 北の花 十九句
第二章 冬のオホーツク
■随筆集 鳥は神に向って翔ぶ (一九八六年)
鳥は神に向って翔ぶ
望郷くしろ ―その啄木碑―
桜桃忌詣で
未刊夢二日記
知床の人
藤野先生
痛みの金粉―随想と私―
■豆本 わたしの夢二日記 (一九八五年)
わたしの夢二日記
■評伝 造本の阿修羅―蘭繁之の仕事展―補遺
■小説 昭和に死す (一九九六年)
昭和に死す
■解説
北の詩人の真情が人生まるごと胸をうつ
佐相憲一
日高・網走と弘前から愛される人
鈴木比佐雄
■川村慶子 年譜
■作者のことば
■編注
【詩篇紹介】
「純粋の日」 (第一詩集より)
思いがけない 雨 に 降られて
たのしかった
純粋の日―よ
大きな樹蔭に 走り寄って
二人並んで
雨の晴れまを 待っていた
「あ、 又ひどくなりましたネ」
「でも、晴れそうですよ」 って。
そして 私達は いつしか
手を触れあい、 静かに
頰を寄せあって
―泣き出してしまった。
ああ、 純粋の日―よ
草木も 心も
洗われていった その日よ。