戦後から現代を見据える拠点としてきた「化外」の思想、あるいはバルバロイ(異民族)の視点から、中央にモノ申すことに恐れない反骨のパトスのなせるものだと思う。「化外」から紡いできた風土の詩人の自負でもあるが、その指摘は反骨の詩人たちに対する大きな励ましにもなっている。(黒川純・解説文より)
解説文:佐相憲一、黒川純、三浦茂男、和賀篤子、高橋昭八朗 |
A5判/384頁/ソフトカバー |
定価:2,160円(税込) |
発売:2011年3月8日
【目次】
一章 出発点と賢治・ハチロー
初めての詩集 ―詩との出合い―
ぼくの詩と人生 ―姉からの贈り物―
修羅の祭りをこえて ―わたしの宮沢賢治ノート―
兄・賢治の思い伝える 宮沢清六さんを悼む
「綱要」抜きの甘い果物 ―見田宗介『宮沢賢治』をめぐって―
良どこさ、お出ェたナサ ―サトウハチロー記念館「叱られ坊主」の開館に寄せて―
「ちいさい秋みつけた」案内 ―サトウハチロー詩の世界―
二章 北上の詩文化
残されている一・二のこと ―同人詩誌「化外」の側面から―
アテルイの後裔・化外 ―川柳作家との鼎談―
馬の国の領主
相沢史郎の方言詩とラグビー
「首輪」の時期の村上昭夫
天の碑銘 ―詩人・村上昭夫追悼―
母と村の考察 ―生活詩における小原麗子の側面―
小原麗子氏との往復書簡 ―ETV8「庶民が生きた昭和」をめぐって―
詩人香川弘夫の存在 ―詩誌〈微塵〉の農民詩運動の中で―
詩人紹介 南川 比呂史
追悼 高橋晃さん
高橋忠司さんのこと
追悼 大坪孝二さん ―詩神への愛を捧げた人―
弔 辞 ―栗木幸次郎さんへ―
おらだズの詩歌学会 ―文学館に協力する地元詩歌人の運動―
三章 イーハトーブの詩人たち
①抒情に地の匂い立つ
②大地から湧く農の声
③浜に吹く女の反戦歌
④時代へと響く方言詩
⑤人の世を包む野の花
⑥可能性を開く視覚詩
⑦親と子に潜む愛と魔
⑧花が彩る生気と鎮魂
⑨子どもの詩への信頼
⑩風土に根付く縄文のうた
⑪古代への記憶を刻む
⑫望郷に新しい響きが
⑬完 まことの言葉の姿へ
四章 生活語詩へ
北上詩の会のこと ―その発足の頃と会が向かっていったもの―
沈下しているもの・浮んでいるもの(1) ―さまざまな現象を探検する―
沈下しているもの・浮んでいるもの(2) ―笹藪の断章―
子どもの伝言
全国生活語詩の会編 『現代生活語・ロマン詩選』のこと
五章 北上を読む
地域文化論・北上文化 ―沢藤礼次郎氏らとの対談―
馬をめぐる幻視の古代
東北民話の変身譚
わが郷土の伝承 ―北上からのレポート(上)―
わが郷土の伝承 ―北上からのレポート(下)―
黄金の道 「秀衡街道」記行
平泉文化私見
北上市・木立の中の民俗村 ―万緑に全て包まれ―
和野の芹について
「あの人…」の思いを七代七流れ伝えたい ―『戦没農民兵士の手紙』から四十年―
心のオアシス ―おもいで花巻―
北上の先人 子日庵一草 (一七三一~一八一九)
衆芳軒一僊について ―江戸末期の俳人一僊の『書画帖』成立をめぐって―
北上川船運の小史
「共存共栄」いくつかの断章 ―政治家・沢藤幸治小伝―
六章 さまざまな文化論
ザシキボッコたちの非行前線 ―現場からのレポート・中学校(岩手)―
井戸・子ども・夾雑物 ―ぼくの幼児に関するノート(一)―
井戸・子ども・夾雑物 ―ぼくの幼児に関するノート(二)―
絵本の書評の批評 ―昭和四十八年出版から―
「短歌甲子園」の世界 ―高校生短歌から見えて来たもの―
読書会を考える
図書館づくり運動に思うこと ―その変遷と今後の展望―
道化役のリアリティ ―赤塚不二夫の『天才バカボン』―
「戌」談義 ―民話のなかから―
日本画家高橋幸泉の遺作展に寄す
舟運のみち ―さいかちの木と共に―
七章 ミュージック・プロムナード
五木の子守唄(熊本民謡) ―底から突き上げる九州の女唄―
ナニャドヤラ(岩手県一戸地方盆踊唄) ―古代エミシ語のまじないが盆唄に生きている―
亀の子唄/どんづき唄 (岩手県盛岡市・雫石町民謡)
―豪放な「どんづき唄」を聴きたいもの―
おこの毛さん (岩手県北上市・わらべ唄)伝承者/本舘タニ・斎藤貞子姉妹
―わらべ唄の復権を―
東陵中学校校歌(北上市) (詞・工藤民男/曲・星吉昭)
―「校歌」の彼方に、教えられたものの記録を―
どん底の歌(ロシア民謡) ―絶望せずに底の底から希望の歌を―
「リンゴの唄」昭和十八年作詞
―軍歌・行進曲として書いたが、ワイセツとして不許可になる―
「長崎の鐘」昭和二十四年発表
―弟や永井博士を思い人の世の哀しみを描く流行歌への別離の歌―
姫神サウンドに乗せられて ―TBS坂の放物線―
八章 書評
再び「かぶさってくる戦争」のなかで ―新刊詩集から―
和賀町文化協会編 『やまばと―和賀の詩―』解説
佐藤家・家族詩集『お星さまが暑いから』 ―序文といえるかな?―
石川逸子詩集 『定本千鳥ケ淵へ行きましたか』を読む
黒川純の詩について ―哀しみを抱き未来まで―
黒川純第二詩集『砂時計主義』について ―命の水を生む処からの報告―
『池田克己詩集』について
中原茶津奈詩集『時鐘』 ―詩人の息遣いが伝わる『時鐘』―
『児玉茂遺稿詩集』に寄せて
斎藤駿一郎詩集『レクイエム』(一九九四)
初出一覧
解 説
現代詩のアテルイが放つ北上の詩想 佐相 憲一
「化外」から紡ぐ風土の精神 黒川 純
バルバロイ 三浦 茂男
図書館時代とわたしたち 和賀 篤子
斎藤彰吾、出てこい!! 高橋 昭八郎
あとがきにかえて ちょっと長いノート
略 歴