山佐木進詩集
『そして千年樹になれ』
めざめたぎんなん 何になる/ めざめたしいの実 何になる/ そんなたわいないことを口ずさみながら/ そして千年樹になれ と/ 声かけしてみる
(「めざめ」より抜粋)
栞解説:鈴木比佐雄 |
A5判/112頁/ソフトカバー |
定価:2,160円(税込) |
発売:2010年6月30日
【目次】
Ⅰ
吉 日 12
迎 14
掌 15
飛 16
符 17
帯 18
昼 19
雲 20
編 22
讃 24
磯 25
想 26
習 28
唱 30
景 32
坂 道 33
泡 34
終 電 35
あいさつ 36
鴉 38
忍 40
遊 41
幻 42
陽 44
Ⅱ
式 48
願 50
初 51
心 52
芯 53
祝 54
席 56
縁 58
歩 59
糧 60
巡 61
望 1 62
望 2 64
許 65
賭 66
韻 68
実 69
遅 刻 70
訳 72
祭 74
歌 76
出 口 78
像 79
Ⅲ
葬 84
名づける 86
飢 88
声 90
委 託 93
共和国 96
石 碑 100
めざめ 103
あとがき 108
略 歴 110
【詩篇を紹介】
めざめ
冬のおわりの日
ポケットに入れたままの ふたつの樹の実
相馬惣代八幡宮の 椎の実ひと粒
名戸ケ谷法林寺の 銀杏ひと粒
ベランダの植木鉢に 植えてみた
五月 緑の芽が出はじめ
イチョウの葉の形になった
室町 江戸と生きぬいてきてなお
今 を生き続けている樹木のふたつの命を
思いがけなくわたしは
呼びさましてしまった
旅のはじめの馬だまり
消えた街道
つくりなおされる たどり道
いにしえびとの 願いごとや息づかい
そんな華やぎと衰えを
見つめてきたふたつの樹
めざめたぎんなん 何になる
めざめたしいの実 何になる
そんなたわいないことを口ずさみながら
そして千年樹になれ と
声かけしてみる